【岡山/愛媛】「瀬戸内産業芸術祭 2026」初開催。稼働中の工場や産業現場がアートの舞台に(10/3~31)

稼働中の工場や産業の現場を舞台とする「瀬戸内産業芸術祭 2026」が、2026年10月3日(土)から31日(土)まで、岡山県と愛媛県で初開催されます。
会場となるのは、製塩や学生服、デニム、造船関連、蓄電池、資源循環などに携わる7つの企業・団体。普段は製品やサービスを通して接している産業の内側へ入り、ものがつくられ、使われ、やがて処理されていく過程を、アートを通して見つめる芸術祭です。
産業の現場に蓄積された技術や時間を、アートから読み解く
瀬戸内では、海や港、地域の風土と結びつきながら、さまざまな産業が育まれてきました。一方で、完成した製品を目にする機会はあっても、それを生み出す設備や技術、働く人々の姿に触れられる場は限られています。
「瀬戸内産業芸術祭」が掲げるのは、工場や産業現場に蓄積された技術、人の営み、地域の歴史を、アーティストの視点から捉え直す「産業芸術」という考え方です。
作品は美術館やギャラリーではなく、現在も稼働する工場やプラントなど、その産業が営まれている場所に展開されます。会場を巡りながら、機械の大きさや製造工程、音、光、周辺の風景を含めて鑑賞できることも、この芸術祭の特徴です。
塩や制服、デニム。身近なものの背景にある産業へ
岡山県玉野市のナイカイ塩業では、アーティスト・山本基さんが、同社の塩だけを用いた大規模なインスタレーション『たゆたう時(Floating Time)』を制作。製塩会社の工場を舞台に、瀬戸内の風土が育んだ塩づくりの歴史や文化を表現します。内装はデザインユニット・SYMBOL PLUSが⼿がけ、⼯場という製造現場を、塩の⽩さや⼟地の記憶が際⽴つ鑑賞空間へと構成します。

学生服メーカーのトンボでは、資材倉庫から縫製、検品、アイロンまでの製造工程を巡りながら、3人の作家によるオーディオドラマ三部作『TOMBOW Voice Theater ― 制服にまつわる3つの物語 ―』を鑑賞。
それぞれ異なる視点から紡がれる“もうひとつの⻘春”を通して、ものづくりの現場に宿る想いや、制服がつないできた時間に出会うツアーです。

倉敷市の児島ジーンズストリートと旧野﨑家住宅では、デニムづくりの出発点となる綿花から、一本のジーンズが完成するまでを紹介。分業によって支えられる職人の仕事や、児島に根づくものづくりの文化に目を向けます。

いずれも私たちの身近にある「塩」「制服」「デニム」を入り口に、その背景にある土地の歴史や製造技術、多くの人の仕事をたどる展示です。
エネルギーや資源循環から、産業の現在とこれからを考える
会場には、長く地域を支えてきた産業だけでなく、エネルギーや資源循環といった現代社会を支える現場も含まれています。
大型蓄電池を製造するパワーエックスの工場では、再⽣可能エネルギー時代に⽋かせない蓄電技術をテーマに、⽬に⾒えない「電気」と「調整⼒」(発電量と電⼒需要の変動を埋め、電⼒の安定供給を⽀える⼒)を空間全体で可視化したインスタレーションを展開。

岡山市の藤クリーンでは、Atmospheric Solutions × Maki Softwareによる作品『Re:Cycle』を展示します。「廃棄物を資源へ」を掲げ、産業廃棄物の収集運搬から中間処理、最終処分までを一貫して担う同社。そのリサイクルセンターで行われてきた見学ツアーと、現在も稼働する施設そのものが作品の舞台となります。
『Re:Cycle』は、同社のリサイクルセンターで実施されてきた見学ツアーと、現在稼働する施設そのものを舞台に、アプリケーション、サウンド、学びの要素を重ね、廃棄・再生・循環を多層的な体験として提示するパフォーマティブ・インスタレーションです。観客は、施設内の音やガイドの声、そこで扱われるモノの過去・現在・未来を手がかりに、資源が循環していくプロセスを辿ります。

愛媛県東温市では、オオノ開發の複合リサイクルプラント内にある管理型処分場が展示会場になります。見学者は現場服を着て処分場を巡り、⾕の淵や⼈⼯的につくられた丘の上から、ダイナミックな処分場の⾵景を体験します。⾃然と⼈⼯物と⼈間がつくる⾵景が浮かび上がり、循環を⾝体で感じることのできる展⽰です。展示は建築家の妹島和世さんが監修し、西沢立衛さん、増田信吾さん+大坪克亘さん、山田紗子さんが手がけます。

身近な製品や蓄電池を製造する工場から、使い終えたものを処理する施設まで。「瀬戸内産業芸術祭 2026」は、異なる産業の現場を通して、ものをつくり、使い、その先へつなぐ社会の仕組みを考える機会になりそうです。
展示の監修には、妹島和世さんのほか、キュレーターの長谷川祐子さんらが参加。全作品は事前予約制で、オフィシャルツアーまたは個別入場チケットで鑑賞できます。
いつも使っている製品は、どのような場所で、どのような技術によって生まれているのでしょうか。アート作品とともに産業の現場を巡り、瀬戸内のものづくりを支えてきた技術や人々の仕事に触れてみてはいかがでしょうか。
| 名称 | 瀬戸内産業芸術祭 2026 |
|---|---|
| 会期 | 2026年10月3日(土)〜10月31日(土) |
| 会場 | 岡山県岡山市・玉野市・倉敷市、愛媛県東温市の工場・産業現場など7会場 |
| 参画企業・団体 | 藤クリーン株式会社、児島ジーンズストリート協同組合、ナイカイ塩業株式会社、株式会社トンボ、株式会社パワーエックス、三国工業株式会社、オオノ開發株式会社 |
| 鑑賞方法 | 全作品事前予約制。会場により公開日時が異なります |
| 公式サイト | https://www.sai-art.jp/ |
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