【ソーメン二郎さんZOOM公開インタビュー】そうめんは人と人とのご縁を繋ぐ赤い糸だった? 2020年大ブームになるかもしれない「キムタクそうめん」もご紹介!

しゃかいか!公開インタビュー

新型コロナウイルスの影響もあり、お家でお昼を食べる人が増えた昨今。

暑い日に、サッと、美味しく、お腹いっぱいになれる食べ物といえば……そう、そうめんです! 今回は本格的な夏がやってくる前に、ぜひこの方にお話をお伺いしたい! と、以前『亀屋植田製麺所』の工場見学をさせていただいた、そうめん研究家であるソーメン二郎さんにZOOMを使って公開インタビューをさせていただきました。

「そうめんの歴史」「美味しいそうめんの食べ方とは?」「2020年大ブームの予感がするそうめんレシピとは?」などなど、たっぷりとお話をお伺いした内容を取材レポートにまとめて、お届けいたします。
公開インタビューの様子は動画でもご覧いただけますので、お時間ある方は、Facebookページからご覧ください。

本日はよろしくお願いします!

ソーメン二郎さんライブインタビュー

(……そうめんをすする、ソーメン二郎さん……)

ソーメン二郎さーん!!!!(笑)

あ、流しそうめんが始まっていますか? ソーメン研究家のソーメン二郎です、よろしくお願いします。

お願いします(笑)。3年ほど前ですかね? しゃかいか! でも三輪素麺の工場でソーメン二郎さんのご姉兄さんがお勤めされている『亀屋植田製麺所』を取材させていただきました。

植田製麺所看板 干す

そろそろ「そうめんシーズン到来」ということで、今回の公開インタビューでは、最近のそうめん事情を踏まえながら、美味しい食べ方などを教えていただければと思っております。

今年は、大変な年になりましたよね。まず『亀屋植田製麺所』がつくっている三輪素麺の歴史からお伝えしますと、奈良県桜井市の三輪山の麓で作られているそうめんのことなんです。

ソーメン二郎さんとお話し

もともとは、飢餓や伝染病が起こったことがきっかけで、1200年ほど前に保存食として「そうめんを作りなさい」という、神様からの啓示があったことがきっかけで作り始められた……と言われています。だから今年のような年こそ、そうめんのことを見直して欲しいなと。
日本には、ラーメン・うどんなど様々な麺類がありますけど、そうめんが一番長い歴史を持っています。最近では、生産者の高齢化が問題となっていて、後継ぎ不足が深刻化している中だったんですが、そこへ新型コロナウイルスがやってきて廃業を余儀なくされている業者さんが出て来ている状況です。手延べそうめんを是非、食べてだきたいというのが冒頭のお願いです。

ありがとうございます。ソーメン二郎さんは、5年ほど前からそうめんの啓蒙活動をされていますね。全国各地には様々なそうめんがあるそうなのですが、どんなそうめんかご紹介いただけますか?

全国ソーメンマップをご紹介しておきましょう。

全国そうめんマップ

秋田県の『稲庭そうめん』、宮城県の『白石温麺(しろいしうーめん)』、富山県の『大門素麺(おおかどそうめん)』、徳島県の『半田そうめん』や、香川県の『小豆島そうめん』、愛媛県の『五色(ごしき)そうめん』、長崎県の『島原そうめん』、『南関(なんかん)そうめん』は熊本県ですね。ご覧いただければわかるように全国で十何箇所も手延べそうめんが生産されています。

みなさんご存知、兵庫県の『揖保乃糸(いぼのいと)』は、一番大きな製麺所の集合体で400ほどが集まって組合として生産しています。

揖保の糸は集合体だったんですね。

あと『揖保乃糸』って、帯によってランク分けされているんです。帯を見て買われるといいですよ。スーパーでよく見かけるのは赤い帯ですがこれが一番下のランク。これでも十分美味しいんですが、この上が金の帯、最上級は黒い帯で、その中でも「三神」という名前がついているものは最高級品なんです。

「揖保乃糸」の帯の秘密

「揖保乃糸」の帯の秘密はこちら

そうめんには1200年の歴史があるとお伝えしましたが、ルーツは中国なんです。『索餅(さくべえ)』という小麦と米粉と塩でできたツイスト状のお菓子で、遣唐使の時代、お茶やスパイスなどと一緒に『索餅』も船で日本に運ばれてきました。それが奈良県に伝わり、小麦を生産する石臼、麺にして行く技術、縦と横に手で伸ばして作る製法が受け継がれたんです。縦の糸、横の糸、『揖保乃糸』なんて言いますけど、唐の時代に素麺の原型があったんですよ。

ちなみに、お中元も中国の文化。はるか昔から縁起がいいのは「長生き」と「ご縁が切れない」ことと言われているので、そうめんは白くて細くて長くて、伸ばしても伸ばしても切れないため、縁起物として重宝されました。一年の半分くらいのご縁が切れそうな時期に『私を思い出してくださいね。後半もよろしくお願いします。ご縁を切らないでください』ってお中元でそうめんを送る。そうめんは「白い糸」じゃなくて、ご縁を繋ぐ「赤い糸」だったんですね〜。

素敵なお話ですね〜。

もう今日はいいんじゃないですか?これで。

いやいや、お聞きしたいことがいっぱいあるので(笑)もう少しお願いします。2017年に出版されたソーメン二郎さん監修の書籍『簡単! 極旨! そうめんレシピ (扶桑社ムック)』も大人気の一冊ですよね。今年おすすめのそうめんレシピはありますか?

簡単! 極旨! そうめんレシピ (扶桑社ムック)

そうめんは、オリーブオイルと塩だけで食べても美味しいですし、山形の「だし」をぶっかけて食べるなんてもおすすめですよ。つける、かける、あえる、沖縄のチャンプルーのように炒める、なんでも合うので、詳しくはぜひレシピ本をね、購入いただけるとありがたいですね。64レシピ掲載されてますから、毎日違うのを食べても2ヶ月は楽しめます!

そうめんレシピ そうめんレシピ

あと最近、そうめん業界で大事件が起きました。超国民的アイドル、日本で一番有名なアイドルじゃないかな? その方のインスタグラムに三輪素麺の写真がアップされたんですよ!! その方は、納豆にわさびを入れて、食べるということをしていまして。私は、それをベースに、アレンジを加えまして。こんなレシピを考えました。

キムチとたくわんでキムタクそうめん

納豆と、キムチとたくあんで『キムタクそうめん』です。

なるほどー!

もう誰かはわかると思うのですが、その超国民的アイドルというのが、木村拓哉さん。キムタクさんに大感謝を示したくて編み出したレシピです(笑)。キムタクだから「キムチ」と「たくあん」、そこに彼が大好きな納豆を合わせてみたら、激ウマでした。納豆にワサビを入れるのがポイントですね。調理時間3分で、誰でも簡単に作れますから。お父さんとかお子さんが、お母さんに作ってあげたら喜びますよ〜。今年の夏、『キムタクそうめん』相当流行ると思います。

『キムタクそうめん』レシピ
材料)
・そうめん(木村拓哉さんとお揃いにするなら、三輪素麺)
・納豆(わさび入り)
・キムチ
・(刻んだ)たくあん
・めんつゆ
・あおさのり
・(お好みで)薬味

作り方)
1.そうめんを茹でる
2.茹で上がったそうめんは、冷水でもみ洗いして水気をきる
3.器にそうめんを盛り付け、わさびで混ぜた納豆と、刻んだたくあん、キムチをのせる
4.好みの濃さにしためんつゆを上からかけて、あおさのりを散りばめる
5.お好みで、生姜やミョウガ、シソの薬味をまぶしたら完成

美味しそうですからね! 早速作ります。ちなみに、美味しいそうめんを選ぶコツってどんなものなのでしょうか。

いい質問がきましたね。
まず、そうめんには「手延そうめん」と「機械式そうめん」の2種類があるんです。「機械式そうめん」は、板状の生地を切り出したもので、工場で大量生産されています。パッケージにも大きく“そうめん”とだけ書かれてあるものは「機械式そうめん」でほぼ間違いありません。
一方「手延そうめん」というのは、職人さんが人力で2メートルくらいに生地を伸ばしてつくっているものです。取材いただいた『亀屋植田製麺所』も手延べです。

機

材料は、水・小麦・油・塩と、機械式そうめんと変わりませんが、地域によって原料や配分が異なります。こちらはスーパーであまり特売にならないエリアによく置いてますね。お中元でいただいたりする方も多いかもしれません。パッケージにもしっかり“手延べ”というワードが入っていると思うので、気になる方はそれぞれ探してみていただければ。
コーヒーで例えるなら、「手延そうめん」が丁寧にいれたハンドドリップコーヒーで、「機械式そうめん」が手軽に飲める缶コーヒーという感じでしょうか。一度食べ比べてみると違いがよくわかると思います。

分かりやすいですね。普段は「機械式そうめん」を食べているという人が多いように思いますね。先ほど高齢化の問題もあるとおっしゃっていましたが、もっと「手延そうめん」にも注目してもらいたいですね。

食文化は、食べ続けられないと衰退してしまいます。あと、そうめん産業自体を儲かる商売にしていかないと若い人にも注目してもらえないという課題もありますね。それぞれ産地ごとに個性豊かなそうめんがあるので、「手延そうめん」が絶えないようにたくさんの人に食べてもらえて、後継者が出てくるように引き続きイベントだったり若い人たちを巻き込んで、夏だけじゃなく年中食べられるものにしていきたいと思います。
でも「機械式そうめん」がダメなんてことは、僕は思いません。機械式のそうめんは大家族でも食卓を囲んでみんなで食べるのにも向いているし、アレンジもしやすいですからね。まずは、2種類あるよというのを知っていただいて、食べ比べなんてしてもらえたりすると楽しいですよ。
ちなみに「機械式そうめん」を美味しく食べるポイントがあるのですが、沸騰したお湯に“あるもの”を入れるとコシが出て美味しくなります。次の3つのうちどれを入れると良いでしょうか!

いきなりクイズ!(笑)

1.塩
2.梅干し
3.チョコレート
さぁ、加藤さんどれでしょう?

「機械式そうめん」を美味しく食べるポイント

うーん、②の梅干しで!

正解です。特に何も景品はありませんが、実は梅干しのクエン酸効果で、茹でる時にデンプンが外に出にくくなって、コシが強くなると言われているんです。大きな梅干しで、おばあちゃんが漬けたみたいな酸っぱぁ〜いやつを、入れるるのがおすすめです。もちろん茹でた梅干しも薬味に使えますし、好きに使ってもらってOKです。
あとよく聞かれる「そうめん」と「ひやむぎ」の違いですけど、日本農林規格(JAS)の乾麺類品質表示基準が決められていて、麺の太さで名称が変わるんです。1.3mm以下が「そうめん」で、1.3〜1.7mmが「ひやむぎ」、1.7mm以上が「うどん」。全部原料は一緒なんですよ。

なるほど! ちょっと話は変わりますが、最近はそうめんの専門店なんかも都内ではでき始めて、気軽にそうめんが食べられるようになりましたね。

去年、一昨年ぐらいから東京にもそうめん専門店ができはじめて、15店舗くらいありますね。変わったメニューで言うと、西荻窪の「まほろば」さんというお店(食べログ)が、『そうめんバーガー』という上と下のバンズが揚げたそうめんになっていて、チキンを挟んで食べるという。これがなかなか美味しいんですよ。

そうめんバーガー

映えますね〜

東中野にある「阿波や壱兆」さん(食べログ)は、半田そうめんを使ってるそうめん屋さんです。通年そうめんを出している居酒屋で、800くらいメニューがあるんですよ。冷たいのも、温かいのも、ぶっかけのスタイルもどんぶりで食べるのが大人気。あと大井町にある「そうめん屋はやし」さん(食べログ)は、三輪そうめんを使っています。しかもフォアグラやキャビアなど、高級なそうめんを提供されています。あと、僕自身も新宿のゴールデン街で土日だけ「そうめんバー」をやっていまして。そこでは、室町時代に食べられていたそうめんを再現して出しているんです。

室町時代を再現したそうめん

夏にもぴったりなそうめんですね。

ごまだれベースのタレにお酢を入れて、さっぱりと夏にもぴったりな味ですよ。そうめんには色々な食べ方ができるので、白米と一緒の感覚で楽しんでもらえれば嬉しいですね。
そしてそして、昨年は念願叶って『そうめんソータロー(ポプラ社)』という絵本も出させてもらいました。

そうめんソータロー

僕が作家の岡田よしたかさんの大ファンだったんですけど、岡田さんも奈良県出身で高校も同じでして。これまでに『うどんのうーやん』『ちくわのわーさん』という関西弁のギャグの絵本をすでに出版されていたので、「そうめんの絵本を描いて欲しい!」と直訴しにいったんです(笑)。そうめんって、夏はすごい人気者なのにそれ以外の季節は人気がなくなっちゃうから、自分探しの旅に出て、あるレシピで人気者になるという話なんです……と、伝えたら15分でやろうか! と決まりました。

そうめんソータロー

絵本というのは、必ずお母さんが子供に読み聞かせをしますよね? 食育にもなるから、本当のそうめんを知っていただくいいキッカケになると思っています。なんだかいい話しちゃったな〜。ぜひお一人10冊くらいずつ買っていただいて、お中元にお配りください(笑)。

『簡単! 極旨! そうめんレシピ』も『そうめんソータロー』も一家に一冊ずつということで! 冷蔵庫にある材料ですぐに出来そうなキムタクそうめんは、早速作ろうと思います! コロナも落ち着いてきたらそうめんのお店巡りなんかもできるといいですよね。
今回はたっぷりとお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

(インタビュー:つるたちかこ)

関連するキーワード

最新インタビュー

最新訪問ブログ

インタビュー一覧へもどる