”作り手”、”伝え手”、”使い手” を繋ぐマーケット「ててて往来市」発起人の永田宙郷さんにインタビューさせていただきました!

合同会社ててて協働組合

永田宙郷さん

9月7日(土)・9月8日(日)に渋谷ストリームホールにて”作り手”、”伝え手”、”使い手” を繋ぐマーケット『ててて往来市 2019 TE TE TE ALL RIGHT MARKET』が開催されます!

出展するのは、全国各地で中小規模なものづくりを行う"作り手"を中心にとした90組。暮らしにまつわる日用品や食品からアパレルまでジャンルを問わず、価値観や思いを共感した方々が集います。

 主催者である「ててて協働組合」は、"作り⼿""使い⼿""伝え⼿"の3つの⼿が共鳴しあえることを⽬的に掲げて活動を行なっており、「ててて往来市」は、2012年よりスタートした「ててて見本市」から生まれたものづくりが紡ぐ関係性を、"使い⼿"のみなさんとも共有する新しい試みです。

今回、あたらしく「ててて往来市」という取り組みを始められる、ててて往来市共同主催者/発起人のプランニングディレクター永田宙郷(ながたおきさと)さんに、インタビューさせていただきました。

まず、「ててて見本市」とは別に一般のお客さんが入れる「ててて往来市」をはじめられる理由をお聞かせいただいてよいですか?

「ててて見本市」はおかげさまで8回を終えることができました。本来出展者が80組くらいしか入れないところに、なんとか100組に入ってもらってるのですが、出展希望が250組とか来る状況があって、ぼくたちが「ててて見本市」をはじめた理由の一つの、会いたい人に出会うということが、思うように出来てないという事があります。

出展してくれる人たちの、ものづくりとビジネスサイクルは、年に1回見本市に出ることで取引先を探す場合が多く、出展者の生活の一部をぼくらがお互い背負い合う状況だとする時に、その人たちを外して、新規の人たちを選べなくなるんですね。

いろんな人に出会いたくて、くっつけたくて始めたのに、みんな顔見知りになってしまった。来場してくれるお店もたくさんできる訳ではないので、出展者が変わらなければ、来場者も変わらない、「ててて見本市」を大きくするつもりはないんだけど、淀む直前にもう一回、川筋を整理しないといけないなあと思った時に、まったく違う場を作ろうと考えました。

昔は、これが相模の国だとしたら(お皿を手に取って)、必要なものはこの中で作る。それが全国にいろいろあって、流通とか素材の手に入れ方とか文化の背景とか生活様式とかも、小さな単位だった。いまは国という大きさになって、流通も生活もフラットになって、何カ所もいらなくなってしまった。

漆の産地だけでも何十ヶ所もいる?って、どんどん淘汰されていく状態になった時に、それぞれの地域で踏ん張ろうと思ってる人たちが奮闘している状況をたくさん見る中で、1人だと不安なことがあるじゃないですか?やっぱり相談相手とか同じように苦労しているがんばっている人をもう一回出合わせたほうがいいと考えて、2月(ててて見本市)は枠がいっぱいなので、9月(ててて往来市)でちゃんとそういうのをしようと考えました。

あと、昔だったら魚屋さん行って、「今日こういう料理をしたい」と言ったら魚を選んでくれたり、捌いてくれたりしてくれたと思うんだけど、スーパーが切り身にした魚を並べるようになってから、「使い手」は好みとコストでしか選べなくなってしまった。もっと「こういうのが欲しい」とか、「使い手」が「作り手」と顔を合わせて言っていいんだとか、聞いていいんだという機会を作りたかったんです。

出展者が、半年分のオーダーを得るためのビジネスと、半年後向けてなにを作ればよいのかをしっかり考えるための出会いの2つが必要だなあとおもって二本立て(バイヤーズDAYとマーケットDAY)にしました。

ててて往来市共同主催者/発起人のプランニングディレクター永田宙郷さん ててて見本市の様子

ててての募集要項には、「他の出展者との交流や新しい出会いに前向きな方」とか「一緒に場を作っていける思いのある優しい方」という文言をいれてるのですが、そこはきちんと審査します。8年やってると応募要項を見るだけで、明るく楽しく優しい方かが分かるようになってくるんです。書いてくるちょっとした言葉の選び方とか。だから、てててに出てくれる出展者はみんな仲良くなれると思います。勝手に出展者同士で旅行に行ったりしてますからね。出展者同士で一緒に作りました!って新作が出来たりしますからね。

出展者のレイアウトには、とても気を使っていて、「この出展者とこの出展者が仲良くなればいいなあ」とか、「この新顔はこの重鎮から厳しさを教えてもらったほうがいい」とか、「去年ここは子どもが生まれるって言ってたから、隣に子どもがいてもお互いさまですってなるかな」とか。。他の展示会との唯一の差ってその配置の違いじゃないかってくらい。「ここのスタッフの男の子、彼女欲しがってるって聞いたら、スタッフが女の子ばっかりのところをわざと隣にしたり」あと「不安になることもあるだろうからと思って、同じ都道府県のひとを見える範囲に置いてたり」。そういう小ネタはかなりあるかもしれません。だいたい家族構成まで知ってしまってますね。唯一まだ、「ててて婚」だけがうまれてないので、「ててて婚」は目指してます(笑)

作り手同士の出会いの場としては、結構成立はしてるのかなと思っています。
普通の展示会ってバイヤーとメーカーの出会いの場であって、メーカー同士のつながりを意識している展示会ってあんまりないので、そこに対しては結構忠実にやってますね。

新しい取り組みとしてはじまる「マーケットDAY」について、詳しく聞かせていただけますか?

作り手たちは自分が作ったものが何と比較されて、どう手に取られて、どう迷われているか売れる現場を見たことがないんです。だから目の前で「やっぱりやめた」
とか、「やっぱりこれがいい」といったことをきちんと見せるということがしたい。そういう意味で一般の人が来てくれるのを楽しみにしています。

今回の「ててて往来市」では、入場料として500円をいただきます。500円分のお買い物券付きなので、実質0円になっていますが、ある程度、フィルタリングの機能をはたして、いい「使い手」が来てくれると思っています。ただ、その500円を運営資金に回す気はまったくないんです。500円のチケットは投票権だと思っていて、90組の中から「あなたのものが好きだ」「あなたのものが欲しい」というラブレターをもらったと思って、受け取ってねと出展者には伝えています。だから、ぼくらも500円玉をめっちゃ準備して、チケットを換金しようと思ってます。束で持ってきたチケットをよし!って言ってがさーっと換金する。

千年未来工藝祭永田さん 千年未来工藝祭プレスツアー

永田さんの周りにいる何人かの作り手をイメージすると、販売まで自分たちでやっている人が多い印象なのですが、今回はそうでない人もいるんですね。

まったく一般の人にものを売ったことがない。はじめてという出展者もいます。だから、何を用意したらいいんですか?って聞かれて、領収書かな?って言ったら、商取引で契約書とかは交わすけど領収書がない。総務に聞いたら領収書がないから買ってこなきゃとか(笑)領収書ってだれの判子押せばいいんですか?という感じで、普通に受付者でいいと思いますよって伝えたり。いままで、「ててて見本市」に来てた人も違うなって思ってもらえる。はじめての人もこういうものか!と思ってもらえるかな。

初登場で市場にでていない商品も多いし、試作品とか、パッケージがない状態とかでも、お客さんにま伝えればいいと思うので。オンラインでは検索できない商品が見つかる、買える場所になると思います。

今回のててて往来市で作り手さんの話を聞くと取材に行きたくなりそうで大変そうです。

いまって検索されないというのがとても重要だと考えていて、会いに行く、手にするとかフィジカルなものがないと絶対繋がらない。今回も検索できないものを集めました。

「ててて」という言葉も最初は逆SEOを掛けてました。「ててて」と検索しても検索結果に出てこない。余程、自分たちが信頼されてアクセスが増えるようになるまでは、検索で見つからないようにと思って。最初Webサイトつくるときにも、METAタグいれないでおきました。

「ててて」って、普段はキーボードで打たない文字列だから新鮮で、インパクト強めの情報として目に入ってくる。そういう、いらない情報設計とかにはむっちゃエネルギー注いでました。「ててて」っていまだから大丈夫だけど電話で言うのもはずかしかった。「ててて」って(笑)

あとはダジャレですよ。往来市の元になってる往来会(おうらいえ)というのも、最初は「All right yeah(なんでもあり)」から来ていて、楽市楽座の現代版の言葉を探してたんですよ。ちゃんとCHAGE and ASKAの「YAH YAH YAH」を見てYAHにして。福岡出身なので大先輩は無視できないなと(笑)これまで「ててて呑み」というのをしてたんだけど、呑むという印象が強くて、もっと出会うということを大事にしたいと思って、往来会にしました。

これでうまくちゃんとお客さんが来てくれれば、やっと次の「ててて」の姿を見えるかなと思います。「作り手」と「伝え手」と「使い手」の3つをつなぐと言いながら「つくる人」と「伝える人」しか呼べてなかった。その場しか提供出来てなくて、一般の人が入りたいと言っても無理ですって断ってた。やっと3つが交じる。やっとスタート。長かったーという感じですよ。8年かかった。ほんとぼくらのんびりすぎて、名刺つくるのに3年かかったんですよ。ホームページつくるのに5年。事務所借りるのに8年かかった。8年目にやっと「作り手」と「伝え手」と「使い手」の3者を受け入れれる。で、10年目は旅に出る(笑)

ここからはいろんな人の協力をもらわないと続けていけないので、ぼくたちだけでやってても閉じちゃうので、開いた状態保って多様性を維持するとするといろんな人に入ってもらわないと。桃栗三年柿八年って、もう8年ですからね。柿でさえ実を結ぶのに、「ててて」はやっと蕾が出たくらいかな。

今日は長い時間(6時間)、インタビューをさせていただきありがとうございました!

大瀧神社
プロフィール画像

永田宙郷 さん

1978年福岡県生まれ。金沢21世紀美術館勤務、デザイン事務所勤務を経て、EXS Inc.(株式会社イクス)に入社。東京の事務所を拠点に、アート・伝統工芸の分野から、企業の新規事業開発まで、幅広い分野において課題を解決するプランデザインと、デザインディレクションやグラフィックデザインを中心とした活動を行う。
URL: http://exs-inc.com

イベント名称 ててて往来市 2019 マーケットデイ
開催期間 2019年9月7日(土)〜9月8日(日) 10:00~19:00(日曜は17時まで)
会場  渋谷ストリームホール〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-21-3
主催  合同会社ててて協働組合
WEBサイト  https://tetete-allright.jp/

(text:加藤 photo:市岡 ※一部の写真は合同会社ててて協働組合さん提供)

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