【燕三条 工場の祭典】開け、KOUBA!職人技を見て触れて、産地を味わう4日間!楽しみ方を実行委員長 山田立さんに聞いてきました!
燕三条 工場の祭典2016実行委員長 山田立さん
『ものづくりにたずさわる人』や、『ものづくりを応援する人たち』にお会いし、お話を聞いていく、しゃかいか!インタビュー!
今回は、しゃかいか!でも度々、取材をしてきました「燕三条 工場(こうば)の祭典」第4回実行委員長の山田立さんに10月6日(木)から9日(日)の4日間、新潟県燕三条地域で開催されるものづくりを体感できるイベント「燕三条 工場の祭典」の魅力から楽しみかたまでいろいろお話をお聞きしていきます。
今年で4年目を迎える「燕三条 工場の祭典」とは、燕三条地域が誇る企業が一斉に工場を開放し、ものづくりの現場、職人さんの作業風景を間近で見学でき、職人と対話でき、ワークショップでは五感で体験できる盛りだくさんなイベントです。
なんと!山田立さんとは、しゃかいか!が、青いヘルメットを被っていなかった初期時代からお会いしています。(とってもレアです)
山田立さんは、「新潟県無形文化財」、「伝統的工芸品」にも指定されている創業200年の老舗「玉川堂」さんの番頭として、
国内唯一の鎚起銅器産地の発展に取り組まれています。
文字面の気高さとは一転、山田立さんはとても気さくで、物腰も柔らかで大変魅力的な方です!
そんな山田立さんは、「燕三条 工場の祭典」の1回目、2回目、3回目と副実行委員長を経験され、今年は実行委員長としてこれからの10年後も見据えながら、ものづくりの燕三条地域で奮闘されています。
2回目の工場の祭典で玉川堂さんを訪れた時は、この有形文化財に登録された場所で扉を全開にしたライブが行われていました。
気持ちの良い空間で、ゆったりとした音楽を聴きながら、燕三条地域の住人と職人たちと一緒の時を語らい過ごす時間。とても興奮したことを昨日のように想い起こします。
癒されますね〜。
すみません!あまりに癒される空間で、本題のインタビューに入るまでにかなりお時間を費やしてしまいました。では、本題のインタビューへ突入です。本日はよろしくお願いします。
しゃかいか! 坂田:「燕三条 工場の祭典」のはじまりを理解すると存分に楽しめるかと思うので、成り立ちをお聞きしていきます!
はじまりは、大きく3つの流れがありました。
1.作っている現場を見たいという声
2.三条市の後継者育成事業
3.燕市の金型屋さんがバイヤー向けに開催していた見学ツアー
もともと三条市では7年前から鍛冶祭りという物販の催しをやっていましたが、そこでお客様からものづくりの現場がみたいという声が寄せられます。
さらに、三条市の後継者育成事業では、初年度に三条市の庖丁工房タダフサさんに中川政七商店さんが、コンサルという形で入り、たくさんあった庖丁の中から「基本の3本」という人気商品を生み出します。
しゃかいか!もタダフサさんのパン切り庖丁を求めてタダフサさんにお伺いしました!
3年目には、三条市からmethodの山田遊さんに声がかかり、山田遊さんは、「1社だけをコンサルすることに広がりがないから、オープンファクトリーのようにしましょう」と話が進んでいきます。
このような流れがあったことと、さらに燕市内でも同じタイミングですでに動きがありました。
オープンファクトリーに向けて個人が動きはじめていました。
6年前に、燕市の金型屋、武田金型/MGNET(マグネット)の武田修美さんが、
いろいろなところへ独りでお願いしてバイヤー向けに工場・工房を巡るツアーを企画し、実施していました。
金型屋は製品をメーカーへ納めた後、自分たちの手元には何も残らないので世の中の表に出てくる機会はなく、なかなか金型屋自体が注目されることはありませんでした。
完成品を武田さんが、名刺入れやいろいろな形にして販売したり、燕市と三条市とを取り持つようなオープンファクトリーの仕事をし始めていました。
しかし、工場・工房を開く側にとっては、ツアーに参加した人にとっては実りがあるけれども、次へ広がりがないことや、案内できる人数が限られてきたりとキャパシティーの問題も出てツアーの限界を感じていました。
そうこうしている内に、東京・大田区のオープンファクトリーが開催されて話題になっていました。
2012年頃からオープンファクトリーという言葉をよく耳にするようになりましたね。
そうそう。さらにね、2000年から3年ごとに開催される、新潟県の越後妻有(十日町市・津南町)で、国際芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」も始まりました。
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」とは、
1年を通して、越後妻有地域に内在するさまざまなアートに関わるものことを掘り起こして世界に魅力を発信し、3年に1度の集大成を発表する場をつくり、地域再生へとつなげるイベントです。点在している地域をぐるぐると回っていく「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の仕組みなら、燕市でもできるかもしれない!と思っていた矢先に、
三条市でも今度やるよ!という話が舞い込みました。同じ志を持った人たちが同じタイミングで、同じことをやりたがったんですよ。
自分たちの町工場をどうにかしたいという想いがちょうどよく何重にもなって、「燕三条 工場の祭典」が誕生したのですね。
1年目からニュースにも取り上げられたりと話題になりましたが、予想通りでしたか?
1年目は、蓋を開けてみないとどのくらいの方に来ていただけるのか不安でした。
2013年の初年度は、参加工場数54拠点で5日間約1万人、2年目(2014年)は、58拠点で4日間約1万2千人、3回目(2015年)は、67拠点で4日間約1万9千人の方に参加していただきました。
「工場の祭典」の印象的なピンクのストライプ柄。首都圏でピンクのストライプ柄をみても直ぐに、「工場の祭典」を想起するようになりました。「工場の祭典」のデザインには、どのような意味が込められているのですか?
「工場の祭典」のデザインは、長岡造形大学産業デザイン学科を卒業された地元にゆかりのあるクリエイティブユニット、SPREAD(スプレッド)さんにデザインしていただきました。
ピンクのストライプ柄のデザインって何の色か知っていますか?
鉄の黒と炎の赤!でしょうか!?燕三条のシンボルマークのカラーに使用されている企業が多いですよね。
ううううう〜〜ん!!
正解は、炎のピンクと金属のシルバーです。
デザインを作成するため、SPREADさんが工場めぐりをされている際に、炎の中の青から赤に変わる時のピンク色の綺麗な部分が大変記憶に残ったそうです。
立入禁止・危険区域を示す黒と黄のトラロープから着想を得て、普段は解放していない町工場を「工場の祭典」では開け、「開けた工場」という意味合いをもたせ、綺麗なピンク色と金属のシルバーとで表現しています。
あまりお金をかけずにピンクの段ボールを重ねたり、車もピンクでテーピングするだけで、工場が開いているよとお知らせできるし、工場見学への敷居を下げることに成功しています。
本当にデザインの力ですよね!
工場の外壁にプロジェクターからストライプを投影するだけで、会場が一気に開けた「工場の祭典」に様変わりします。
「工場の祭典」は、「こうじょう」ではなく「こうば」と呼びますが、その意図を教えてください!
「工場の祭典」のタイトルも秀逸で、機械があって無機質な印象が強い「こうじょう」とは呼ばせず、「こうば」と呼ばせることで、町工場(こうば)で家族が手作業をしている温かみある印象が付きますよね。
しゃかいか!も楽しみにしている夜の職人と触れ合える「レセプション」はどのようにしてできたのですか?
職人から案内や、工程の説明を聞く時間はあるものの、職人と直接、話す時間がなかった1年目。もっと職人さんと一緒に話す時間が必要だよねーということで、2年目から夜のレセプションを始めました。
お酒を一緒に飲んでご飯を食べながら、来られた方と職人とが話を交わす場所があれば、時を同じにした全員が想いを共有できて楽しくなると思いました。3回目は、全体のレセプションをお寺で行いました。お寺の本堂にプロジェクションをあてて、ワークショップしたりと毎年、新しい企みをいろいろとしています。
©「燕三条 工場の祭典」 実行委員会
昨年、2015年のレセプションの中でも、作業着のファッションショー「作業着RUNWAY(ランウェイ)」には、やられた!と思いましたよ。
モデルは、諏訪田製作所、玉川堂、タダフサ、三条特殊鋳工所、藤次郎など製造業の現場で働く人たちが担当され、大盛況だったそうです。今年も、また何か新しい企みを一緒に楽しめそうで、しゃかいか!も今からワクワクしています!
「工場の祭典」を全力で楽しむには、レセプションは絶対に外せないです!レセプションは夜に開催されるので、泊まりがけで行くことを全力でオススメします!
©「燕三条 工場の祭典」 実行委員会
今年で4年目の「工場の祭典」。続けてきて町に人にどんな変化がありましたか?
動員数、売上げ増加、という単純な話ではなく、人に見られるということが僕らを成長させています。
具体的には、3つの変化がありました。
見せることにメリットを感じる工場が増えた!
「工場の祭典」を始める前は、いつでも見学できる工場の数が4箇所くらいでした。今では、その倍以上の工場が、設備投資をして開かれた工場に様変わりしています。ちょっとずつ見せることにメリットを感じる工場が増えてきています。
職人になりたいと、履歴書をもって就職活動をし、勤めた方がもうすぐ二桁!
おじいちゃんの仕事カッコイイ!将来は、おじいちゃんみたいになりたい!
地元のこどもたちの意識にも変化がありました。危ない場所としてなかなか近づけなかった鍛冶場や工場で、こどもたちが自分のおじいちゃんがこんなにカッコイイ仕事をしていると気付き始めて、「将来は、おじいちゃんみたいになりたい」と言い出したお子さんもいるんですよ。
身だしなみを綺麗にしたり、工場を整理したり、自分の仕事を人様に説明することで、自分の仕事をちょっと棚卸しして考える機会にもなっています。いろいろと「よかった探し」をしている最中ですが、新たなパワーにつながっています。
お互いの企業や農家がどんな技術を持ち合わせているのかを知る機会になり、BtoBも増えているんですよ。
ほんとうにイイことしかないですね!
現場を見ると品物とお客様の距離が縮まる
これだけの手間がかかっていると現場を見て知ると、価格にも納得感が生まれて逆にこの価格安すぎないと心配されることもあります。これだけたくさんのことがたった3年で変化しています。
©「燕三条 工場の祭典」 実行委員会
最後に3回目を終え、さらなる進化を続ける4回目の「工場の祭典」の見どころ、楽しみかたを教えてください!
燕三条は、お米だけでなく、果物や野菜も豊富に作っている土地なんですよ。4回目の今年は、農業の視点、KOUBA「耕場(こうば)」が加わりました。
地元で採れた食材を食べて、地元の食を見つめ直すきっかけになればと収穫して、試食してと五感で堪能できるようになっています。
©「燕三条 工場の祭典」 実行委員会
参加される樋浦農場さんは、27代続く農場で、無農薬栽培のお米に挑戦しながら、自然肥料と育て方にこだわった野菜を栽培しています。
実は、前回の「工場の祭典」でも樋浦農場さんでは、「耕場の祭典」を個人で開催していました。
2015年に「耕場の祭典」で、キュウリの収穫体験し、採れたてキュウリをおかずにご飯を食べている雰囲気がよくて大好評でした。
©「燕三条 工場の祭典」 実行委員会
©「燕三条 工場の祭典」 実行委員会
キュウリだけじゃなく、しいたけ農家さんや、ブドウ、ル・レクチェ(西洋ナシ)、アスパラガスが採れる農家さんも参加していますよ。
秋の実りもたっぷり堪能できますね!2016の「工場の祭典」は食す楽しみも絶対に外せないですね!
しゃかいか!も利用したことがある「オフィシャルツアー」、2016年もありますか?
はい。周り方がわからないという声にお応えするために、2年目からバスツアーを開催しています。今年からは、王道コースというオフィシャルツアーも加えていますよ。
バスツアーでは、いろいろな工場を限られた時間の中でみることができますよね。はじめて参加される方はオシィシャルバスツアーを周り方の参考にしてみるにもいいですよね。
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【燕三条のものづくり王道コース 燕編】
地場産センター→玉川堂(銅器)→武田金型製作所(金型)→磨き屋一番館(研磨)→地場産センター
【燕三条のものづくり王道コース 三条編】
地場産センター→タダフサ(庖丁)→諏訪田製作所(爪切り)→マルナオ(箸)→ものづくり学校
【食欲の秋】
地場産センター→藤次郎(刃物)→樋浦農園(きゅうり)→越後味噌(味噌)→地場産センター
【農具を使って農場体験】
地場産センター→小林製鋏(鋏)→近藤製作所(農具)→内山農園(農園)→ものづくり学校
他ツアーの確認・参加はこちらから!
©「燕三条 工場の祭典」 実行委員会
同じ会期中に行われるスペシャルイベントについて教えてください。
三条ものづくり学校をメイン会場として、「工芸と遊ぶ四日間 大日本市博覧会 第4回 新潟博覧会」というイベントが開催されます。三条のものづくりの未来について語るトークショーから、ワークショップ、限定品の販売まで盛りだくさんです。
お楽しみがいっぱいですね。こちらも見逃せない!
第4回目の「燕三条 工場の祭典」では、連携イベントが数多く開催されているので、できればまるまる4日間を滞在しながら参加して楽しむことをオススメします!参加工場のみんながやりたいことを楽しいからやっています!と山田立さんは笑顔でいいます。
楽しみかたは何通りもありますが、
地元の職人さんや、地元の住人との会話の中に一番の楽しみが隠されているのかもしれませんね!
山田 立さん
1973年新潟県生まれ。百貨店勤務を経て、「ものづくりのまち燕三条」でも有数の鎚起銅器を世に送り出している「株式会社玉川堂」に入社。現在は創業200年の歴史を誇る同社で番頭を務め、今年で第4回目となる「燕三条 工場の祭典」では、初回から実行委員会で副実行委員長を務め、今年は実行委員長を務める。
URL: http://kouba-fes.jp/
イベント名称 | 「燕三条 工場の祭典」 |
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開催期間 | 2016年10 月6 日(木)-9 日(日) |
開催時間 | 9:00-16:00(*12:00-13:00を除く、大日本市博覧会 第4回 新潟博覧会は18:00、レセプションは各会場ごとに時間異なります) |
開催場所 | 新潟県三条市・燕市全域 及び 周辺地域 |
交通 | JR東日本「燕三条駅」から「三条ものづくり学校」まで臨時バスを運行予定 ※便数に限りがあります |
入場 | 無料 |
お問い合わせ先 | 「燕三条 工場の祭典」 実行委員会 公益財団法人燕三条地場産業振興センター 産業振興部企業支援課 新潟県三条市須頃1-17 TEL:0256-35-7811 |
Webサイト | http://kouba-fes.jp |
SNS | https://www.facebook.com/events/722762587861022/ |
主催・運営 | 「燕三条 工場の祭典」 実行委員会、「燕三条 工場の祭典」 実行委員会/ イベント全体監修:method/ アートディレクション、デザイン:SPREAD/ ブックレット編集:BACH/ 撮影:神宮巨樹写真事務所/ プロジェクション:岸本智也/ プレス:HOW INC. |
参加KOUBA | アールクラフト塚原板金、相場紙器製作所、亜倶璃さんじょう、有本製作所、石黒板金工業所、イシモク、内山農園、永塚製作所、越後味噌醸造、大泉物産、大岩彫金、大倉製作所、大湊文吉商店、岡村葡萄園、沖野彫刻、角利製作所、嘉平豆腐店、柄沢ヤスリ、玉川堂、切り文字屋オッケイ、倉茂木工所、県央研究所、恒成、コシヒカリ農場 阿部文吉、小杉農園、コスモ・スミス、小林工業(ラッキーウッド)、小林製鋏、近藤製作所、斉藤工業、佐久間食品、燕三条Wing、三条鍛冶集団、三条果樹専門家集団、燕三条地場産業振興センター、三条市役所、三條新聞社、三条スパイス研究所、三条特殊鋳工所、しいたけ新六、JAにいがた南蒲 玄米保管倉庫「南低温倉庫」、シマト工業、スノーピーク、諏訪田製作所、関川木工所、セブン・セブン、大日本市博覧会 第4回 新潟博覧会、高三、たかはし果樹園、高橋研磨工業所、武田金型製作所、田中衡機工業所、つばさんフルーツ通り ふるふる、燕研磨振興協同組合 燕市磨き屋一番館、ツバメコーヒー、燕市産業史料館、テーエム、藤次郎、時田工場、外山製作所、新井田鉄工所、西山カートン、日本金属洋食器工業組合、日本洋食器、野崎製作所、野崎忠五郎商店、鑿鍛冶 田斎、ハーベスト、ハイサーブウエノ、ひうら農場、火造りのうちやま、日野浦刃物工房、福顔酒造、古澤製作所、庖丁工房タダフサ、北興商事、ホンマ・コーポレーション フラワー部 フルール・ランヴェール、マサコー山口木工、マルダイ、マルト長谷川工作所、マルナオ、磨き屋・栄治、みこし、水野製作所、宮路農場、山崎金属工業、山﨑研磨工業、ヤマダガレージ、山谷製作所、ヤマトキ製作所、山村製作所、吉金刃物製作所 / 山谷産業 、レジエ、ワイテック、渡辺果樹園 (以上、96事業所/五十音順) |
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