ほしいもをみんなで盛り上げて世界の食に発展させる! 世界ほしいも大会(トークイベント・発表会編)

タンザニアのみなさん2016年3月、茨城県ひたちなか市で開催された、謎のイベント「第1回世界ほしいも大会」にやってきました。大会会場に入るとすでに満員寸前。干し芋の注目度ってこんなに高かったのか!これは何かがあるにちがいない!ということで潜入レポート開始!

450人

記念写真世界?干し芋?なんで?食べたことあります?
干し芋はサツマイモを蒸して干したシンプルな食べ物。コレステロールは含まず、食物繊維やビタミンが豊富に含まれていて、最近は健康に良いヘルシーフードとしてもその価値が見直されつつあります。そして、茨城県は干し芋生産が約8割と圧倒的なシェアを誇っていてもちろん日本一。
そんな干し芋産地の頂点で開催された「第1回世界ほしいも大会」の目的は、干し芋の文化・歴史の発信と業界全体の発展、つまり干し芋を世界の食べ物に発展させることです。県内だけはなく、日本全国さらに世界の干し芋作りに携わる生産者、そしてここ茨城県・ひたちなかの地域のみなさんが一同に会した催しが「世界ほしいも大会」です。

佐藤卓しわだらけで色も地味、形も不定形、そこが愛おしい
この大会の運営の中心は「ほしいも学校」というプロジェクト。6年前の2010年から地域の人々を繋ぐコミュニケーションの場として、また干し芋に関する書籍や商品開発、ワークショップや食育、環境、後継者育成など干し芋をあらゆる角度から研究し未来へつなごうと活動しています。

このチームを引っ張ってきたデザイナーの佐藤卓さんは、Eテレの「デザインあ」の総合指導や「明治おいしい牛乳」の商品デザインを手がけたグラフィックデザイナー。
水戸芸術館のデザインの展覧会がきっかけで茨城に来た際に、生産現場に連れて行ってもらったことが、干し芋との出会い。せっかくなので地元のお手伝いということで、このプロジェクトに携わることになりました。佐藤さんは干し芋の「しわだらけ」で「色も地味、形も不定形」という、これまでデザインに求められていたキーワードとことごとく逆なところに魅力を感じ、「なんて愛おしいのだろう、ここには何かあると思った」のだそうです。

壇上開催を待っている時間。世界ほしいも大会への期待が高まる。

いよいよ始まるいよいよはじまる、ドキドキ。

ほしもののマーク「世界ほしいも大会」公式シンボルマークは、お芋さんの黄金カラーの星の周りに、DRIED SWEETS POTATO “HOSHIIMO” WORLD CONGRESSの文字があしらわれています。
そして星のサイドと地球の絵の中には “IBARAKI” の文字が!茨城のほしいもを世界の“HOSHIIMO”にしてしまおう、という意気込みがガンガン伝わってきます。

会長大会会長からのあいさつ。干し芋の価値や6次産業化への思い、また生産者、流通、行政が一体となった取り組みを進めるべきと、これまでの干し芋関係者さんたちへのお礼と今後の展望を熱を込めて語っています。
その後も、ほしいも学校の理事長、実行委員長、ひたちなか市長や地元の商工会議所の会頭さんなど偉い人のあいさつがどんどん続いていきます。

藻谷プロフィール第1回世界ほしいも大会の目玉「里山資本主義」の著者で地域エコノミストの藻谷浩介さんと佐藤さんのトークイベントです。テーマは「干し芋を通した地域の未来について」です。
ちなみに、藻谷さんは干し芋を初めて見たとき「粘土みたい!」と思ったけど、食べてみると「スペシャルうまい」それが干し芋への第一印象でした。

手を挙げる「干し芋、好きない人ーっ!」
お互いの自己紹介の後、ほしいも好きな人「グー」、嫌いな人「パー」の手を上げてください、と藻谷さん。当然みんなグーなわけですが、「オーッ」というポーズなので、会場みんなのやる気と一体感が醸成されました。

伝統的な食べ物や工芸品が長く続くためには地産地消とセットであることが多いという他の地方のものづくりの事例、地元の人が自分で自分たちの良さを全然わかってないほしいもと映画「ロッキー」のメガネをかけた自分が美人とわかっていない彼女エイドリアンとの類似性(わかりづらい!!)、ハイテクでオートメーションの中心「日立グループ」の総本山と、手間がかかって効率化されにくい茨城県の干し芋が両立しているのかといった、最先端機械産業とほしいも作りの対比など、とても興味深い視点でお話が進んでいきます。

トークショー2茨城県がうらやましい、でもその良さに地元の人たちは全然気づいていない
山口県出身の藻谷さん、初めて常磐線に乗ったときは「茨城ってなんで平べったいんだー、退屈なんだ、しかし大地がものすごくきれい」山口県は山地が多くて平地が少ないので、茨城県をとても羨ましく思ったのだそうです。
まさしく、乾燥しやすい冬の気候(海が近くて平たいので)と、原料のサツマイモが生育しやすい茨城の土壌が、茨城県をほしいもの中心地にした理由。しかし、パッケージもシンプルで、商品性やストーリーが語られることの少ない干し芋は「そこが、また素朴でいいんだけど、ぶっきらぼうな食べ物」と藻谷さん。
佐藤さんも「いい意味では寡黙なのだが、ワインのソムリエのように干し芋の美味しさを言葉化する人がいない。変わらない(ぶっきらぼうなままで庶民的な)干し芋と、スイーツっぽくした高価値なものがあってもいい」と言います。

トークショー遠景お二人のトークはヒートアップ!内容は干し芋のこれからの話に移っていきます。
越は越でも新潟県ではなく、実は福井県で誕生した「コシヒカリ」が全国に広まったが、ほしいもの場合はそれで幸せなのか?全国に広まると消費量は上がるかもしれないが、「茨城県の干し芋」でなくなってしまわないか?それで幸せなの?とか。

「りんごに近くすべきではないか?」りんごは圧倒的に青森県民が消費している、自分でも食べるけど贈答品として送りまくるので、圧倒的に消費量が多い。そして、価格も高いのに世界レベルで「青森のりんご」が根付いたのは、地元で消費するという意識の高さと関係している、などなど徐々に「干し芋と地元愛、そして消費量の関係」といったところに話が及びました。

1時間半以上にもわたったトーク内容はここではすべて書ききれませんが、最後に干し芋の近未来について。
佐藤さん「10〜20年後、高いのからリーズナブルなものまで揃っていて、干し芋が今以上にもっと多くの人に食べてもらって根付く。そして、茨城の納豆、梅に続く3番目の食べ物として、おこがましいけど、この地域の人が幸せで豊かになってほしい、と思います」
藻谷さん「干し芋はまさにお米。みんなが安く食べることのできるお腹を膨らすための普及版、高級なほしいも、そしてどこにも売っていない伝説的な商品化されないほしいも、この3つが相変わらずある状態がほしいもの未来ではないでしょうか」

ほしいも並ぶ一旦休憩へ。会場では、茨城、日本全国、さらには世界の干し芋のサンプルがズラ〜リ。全部で30種類以上はあったでしょうか。

ほしいも高校生

女子高生とほしいも!?
干し芋販売には地元女子校の学生さんが大活躍です!

いただきますもちろん、試食もできます。いただきます!

海外のもありますインドネシア産やタンザニア産の干し芋もあります。「世界ほしいも大会」ですものね。干し芋って海外でも食べられてる、と初めて知りました。

ほしいも大会入場お腹いっぱいになってしまいそう。

パネルディスカッション続いては、日本各地の干し芋キーパーソン達が未来について討論会です。北海道、地元ひたちなか市、静岡県、鹿児島県のほしいも代表4名で討論されました。

北海道の生産者喋るじゃがいも文化の北海道と焼酎の原料としてのサツマイモが主流な鹿児島では、干し芋を食べる習慣がないので、需要から掘り起こしていかないといけない点は共通。寒くいと傷むから貯蔵に暖房をガンガンしないといけない北海道、一方冷やさないと糖化しないので種子島では洞窟で冷房をガンガンかけている鹿児島は貯蔵方法の課題はちょうど反対。温度や乾燥という気候は全く逆なのに、食文化では同じ課題を持つという点が面白く感じました。

前年に買ったお客さんから品質も製法も同じなのに「味が違う」と言われたひたちなか市代表。原因は前年に比べ乾燥した気候のせいだったのですが、農産物であるサツマイモを原料に、毎年同じではないお天気によって干し芋の品質が変わってしまうことを実感。農家の自家製の干し芋だった頃は許されていたが、商品化され全国区になった干し芋の、品質を保つ難しさを語っていました。その対策として、作柄に左右される一つの品種ではなく、ある程度の銘柄を取り揃えて作ることの大切さを語っていました。

女性しゃべるもともと干し芋発祥の地で、実は茨城の干し芋づくりの先生でもあった静岡県。その代表は「茨城県の地域が一体となって取り組んでいるところがうらやましい、茨城の土で作ったサツマイモと静岡県の砂地で作ったサツマイモはきっと味が違う。静岡らしさをどうやって伝えていくかを深く考えていかないといけない」とのお話でした。

パネルディスカッション参加者そして、全体として見えてきた共通の課題は、干し芋を食べることをいかに若い世代に受け継いでいくかということ。もそもと食べる習慣の少なかった地方はこれからどのように食べてもらうか、一方、成熟した干し芋文化が根付いた地域では新しい味のための品種改良やスイーツ化などの新しい食べ方の提案が必要と言います。シンプルな食べ物、干し芋ゆえの悩みかもしれません。
どうやって干し芋を食べてもらうか、それを誰が伝えていくか?という課題は、干し芋を作る生産者にとって、後継者育成とともにある切実な課題と言えそうです。

ほしいも紙芝居

ちょんまげとほしいも?
つづいて、干し芋づくりの歴史が楽しく勉強できる御前崎ふるさと案内人による「いもじいさん」の紙芝居が行われました。

ほしいも紙芝居2この紙芝居では、大澤権右衛門(いもじいさん)が難破した薩摩藩の船を見つけ、それが静岡県にさつまいも栽培が伝わるきっかけとなったことや、サツマイモがほしいもの原型「煮切干」が御前崎で生まれ、それが阿字ヶ浦(現在の茨城県阿字ヶ浦町)に伝わった経緯などをわかりやすく解説してくれました。

休憩時間も盛り上がるちょっと一服です。しかし、休憩時間もほしいも販売は盛り上がる。

三重のほしいも二代目三重県伊勢志摩の干し芋「きんこいも」の今とこれからのお話。「きんこ」は伊勢志摩地方の漁村ではなまこを指し、見た目が似ているので「きんこいも」です。

韓国のみなさんそして、お話の舞台は世界へ。「世界ほしいも大会」なので!
韓国、中国、タンザニアのほしいも事情の紹介です。
干し芋って世界中にあるのか!初めて知った。

韓国では2013年干し芋がブーム。コンビニなどのお店、ネットでも品薄になるくらい。しかし、まだほしいも製造は定着しておらず、主産地は海南(ヘナム)という一地方のみ。
まだ価格も安定しておらず農家の付加価値を上げるための加工品としての存在です。しかし赤土の畑で育ったお芋さんは形は丸く甘いのでとても好評。品種もいろんなものが開発され始め、ほしいも専用乾燥機といった設備への投資も盛んだったのだそうです。ただし、ブームから徐々に需要も減り始めているそうで、現在は一過性に終わらせないことが課題です。

タンザニア代表の発表最後はタンザニア代表の発表。 干し芋はアジアの食べ物ではないのかな?と思いきや、疑問はすぐに解けました。タンザニアはサツマイモの生産が盛んな一方、食品加工産業が未発達な国。そこで、現地で生産されるサツマイモから干し芋をつくるプロジェクトがスタート。タンザニアの首相から、「干し芋は我が国の農産物にさらに価値を与える良いものだ、ぜひやってくれ!」というお墨付きをいただいた後、契約農家からサツマイモを買い付け、まずまずの品質の干し芋ができあがりました。見た目も赤で美しく、ビタミンAが多く含まれていました。しかしながら、原料芋の品質と供給の安定化、大きさの粒を揃えなければならないなど課題もまだまだ。一方、現地にたくさんあるマンゴー、パイナップル、バナナなどの果物からドライフルーツを作ってみたところ、大人気商品に。現在は、日本から導入した乾燥機のフル活用して、季節によって干し芋とドライフルーツを作り分けるなど試行錯誤の真っ最中なのだそうです。

ほしいも最新研究続いてはほしいもの最新研究事情。
寒くと傷む干し芋の低温障害や病気の感染防止を研究している茨城県農業総合センター室長の発表です。干し芋の貯蔵による糖化の進み具合に湿度と品種の関連性はあるという甘みや味に関する実証データ、天気の良い日に素早く乾燥させた干し芋は干し上がったら冷蔵庫で綺麗に保存できるという見た目のこと、天日乾燥は機械に比べて香り成分の量と種類が多くなるなど香りに関することなどなど、最新の研究成果が発表されました。この研究は今後もっと進んでいくそうですが、これから品質の安定やいろんな味を楽しめることになるのでしょうか?とても楽しみです。

大成女子校プレゼンテーション1そして最後の登壇者は...女子高生です
大成女子高校のプレゼン「女子高生がほしいもをプロデュース!?」です。
彼女たちは、茨城県で最も古い女子高校、大成女子校の生徒さんたち。そのクラブ活動である探求部創部のきっかけは、全国の都道府県別魅力度ランキング。ご存知の通り(失礼!)茨城県は3年連続最下位。その不名誉を返上すべく活動が始まりました。

大成女子校プレゼンテーション2(リーダー挨拶)今日のミッションは、ほしいもの新商品開発プロジェクト。探求部の代表4人の生徒さんが今日は450人の大人を前に発表です。
彼女たちは常に前向き、最下位ってことは伸び代ナンバーワンよね!というポジティブシンキングで、茨城県を盛り上げようと試みます。でも茨城の特産品って、納豆に梅になんだか…パッとしないなぁと目をつけたのが干しいも!
「ほしいもって地味でベタベタして変な色〜食べたくないなー」というネガティブな意見は女子高生ならずとも若い人たちには素直な感想ですい。このマイナスイメージをいかに崩していくかが、まさに今日の課題。

大成女子校プレゼンテーション3(見守る同級生)同級生たちが、見守ってます

大成女子校プレゼンテーション2(事実を知る)そこで彼女たちが考えたのが、干し芋単体ではなく何か他の食材との組み合わせでおしゃれに美味しくならないか、という点。着目したのは「グラノーラ」。朝食の大切さへの意識の高まりとともに伸びている、特にお子さんや若い世代たちの人気者。この人気者王道食材グラノーラと栄養はすごいけど地味な干し芋を補い合い克服する食べものを作ってはどうか?ということに気がつきます。そして、お芋さんと相性の良いりんご風味も合わせて考えます。にすごい!!

大成女子校プレゼンテーション4(お芝居もある)ここで干し芋絶賛お芝居を楽しませていただきました。
お店の店員さんとご家族のお店での一幕。
「いかがですか〜(店員さん)」「おいしいー(若者)」の会話で締めくくられた寸劇は、初々しいですが、とっても熱のこもったものでした。

とここまでだと「まあ、可愛いな、フフ」と大人の上から目線で見終わってしまうところですが、彼女たちのプレゼンテーションはまだまだ終わりません。
若者目線ということは、他の世代をどうカバーするかという課題が残ってしまったわけでそこを克服するために考えたのが、ほしいもグラノーラ「みそ味」。甘いのが苦手な男性や、洋食より和食が好みのお父さんなどのむけた新感覚のほしいもグラノーラみそ味!これが相性ぴったりでおかゆに振りかければ「おいしいし健康よ!」と輝く笑顔とともに、レシピも合わせて提案されました。

王道のりんごほしいもグラノーラと、新感覚の和風ほしいもみそ味グラノーラ、偏ることなく手抜かりないのが女子高生らしくない!けどすごい。

干し芋朝食この大成女子高校のみなさんがプロデュースしたグラノーラは、本大会の会場となった、ひたちなか市のクリスタルパレスというホテルで朝食として提供されることになっています。

総括このプレゼンテーションを見て驚いたという、デザイナー佐藤さん。「調査、アイデア、実行力、プレゼンテーション全部てきてた!」

知ってもらうきっかけや、地元の人の誇りと愛着、知られていない魅力やもっと知ってほしいという熱意がビンビン感じられた素晴らしいプレゼンテーションでした。みんな拍手っ!

お食事会にも参加ほしいも大会の後には交流会にも参加させていただきました。

てんぷらほしいものてんぷらをはじめ、素敵なお料理を堪能。

ほしいもおかゆおかゆon 和風みそグラノーラ

はい、ほしいも佐藤卓さんと記念写真。「はい、ほしいもー!」

照沼最後は照沼勝一商店代表取締役である、照沼さんのご挨拶。
明日は工場見学に伺います。よろしくお願いします!

三三七拍子三三七拍子で締めた素敵なほしいもの会は終了しました。
まだまだほしいもは謎だらけ。しかし、ほしいもに関わる人たちの思いは熱く伝わるイベントでした!!

そして、干し芋工場見学へと続く。

【詳細情報】

ほしいも学校

住所:茨城県ひたちなか市勝田中央14-8
URL:http://www.hoshiimogakko.com/hosiimo_index.html

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