つくる人・ひらく人・たのしむ人、多彩な人が交わる印刷のお祭り「心刷祭」の熱に包まれてきた

「印刷」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
インクのにおい、印刷機の音、刷りたての紙の熱さ。
印刷の醍醐味ともいえるそんな感覚を、もっとリアルに楽しめるお祭りがあります。
そのお祭りの名前は、「心刷祭(しんさつさい)」。
ひとつの印刷工場をまるごと開放して開催される、オープンファクトリーイベントです。

ふだんは立ち入ることのできない印刷工場の見学ツアーやワークショップ、作り手から作品を直接購入できるマーケット、さらにはトークイベントまで、その内容は盛りだくさん!「印刷」の魅力を存分に味わうことができる1日です。

心刷祭の開催は、今年で3回目。前回の来場者数は、なんと約900人!ものすごい人数です。
この心刷祭を運営しているのが、松本でおよそ70年にわたって本を作り続けてきた、藤原印刷株式会社。「どんな要望にも真摯に寄り添って応えてくれる」とクリエイターのあいだで評判の、SNS上で多く名前が挙がる印刷会社です。
なぜ、印刷会社がこんなお祭りをしているのでしょうか?
この記事では、2025年5月に開催された心刷祭当日の様子をたっぷりとお届けします!
ふだん何気なく手にしている本やチラシ、製品のパッケージ。私たちの暮らしのすぐそばにある「印刷」の奥深さを知れば、毎日がほんの少し色鮮やかになるかも?
いざ、印刷のお祭り「心刷祭」へ!
心刷祭の会場・藤原印刷の工場へは、松本駅から無料シャトルバスが出ています。しかも15〜30分間隔で、1日に往復40本も!
バスも座席が11列ある広さ。さながら観光バスのようです。

お天気は、あいにくの…というより「こんなに降ることある?」とちょっと笑ってしまうほどの土砂降り。
ですが、バスに乗り込んだ人たちからは「修学旅行みたいだね」なんて弾んだ声も。
みんなで一緒に向かうワクワク感、たしかに修学旅行っぽい!
シャトルバスに揺られること20分。心刷祭の会場、藤原印刷さんの本社に到着しました〜!

心刷祭がはじまるまで、まだあと30分。にもかかわらず、会場にはすでにたくさんの人たちが集まりはじめています。
マーケットの出店者さんたちが、お店の準備を進めつつ、お互いのブースを行き来したり写真を撮ったりしている姿も見られました。
開始を待つあいだ、心刷祭のパンフレットをいただきました!

「心刷」の鮮やかな色に、キラッと輝くシルバーがスタイリッシュでお洒落!

このシルバーは、「特色」と呼ばれる特別なインキのひとつ。
特色とは、印刷でよく使われる4色(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)では表現できない色を再現するための、特別なインキのこと。
濃度の調整や刷り加減に高い技術が求められ、コストも通常より多くかかります。このパンフレットからも、藤原印刷さんの心刷祭への熱の入れようが伝わってきます!
ちなみに、私たちがふだん「インク」と呼んでいるものは、印刷用語では「インキ」と呼ぶそう。せっかく印刷のお祭りに来たので、ここではプロっぽく「インキ」と呼びますね。

パンフレットには、出店者さんの一覧が!その数、なんと44店舗。
地元・長野をはじめ、甲府、岩手、鹿児島など、藤原印刷にご縁のある出店者さんが全国から集結しているそう。全国からってすごいな…!?どんなお店が並ぶんだろう、ワクワク。
本も、雑貨も、グルメも!市場のようなマーケット

時刻は、10時半。待ちに待った心刷祭のスタートです!
雨にもかかわらず、会場には人がどんどん集まってきます。まるでにぎやかな市場のような雰囲気!
お子さんからシニア層まで、幅広い年齢の方々が来場されています。
ふだんは藤原印刷さんの用紙倉庫となっているこの場所に、本はもちろん雑貨や服、飲食物などを扱う多彩なお店が、今日限りのマーケットをオープンしています。

あれ?なじみのあるお顔を発見!
しゃかいか!で何度も取材させていただいている、山梨県富士吉田市のハタオリマチフェスティバル。そこでお会いした「かえる舎」さんです!
「よかったらどうぞ〜」と味噌かりんとうをいただきました。
おいしそう!ありがとうございます!

同じくハタフェスでお会いした、土屋さんと赤松さんもそれぞれ出展されていました!


おふたりとも、2024年のハタフェス開催時にインタビューさせていただいた、ハタフェスのキーパーソンとなる方々です。

こちらも以前しゃかいか!で取材させていただいた、大阪府和泉市にある「堀田カーペット」さんです!

手のひらサイズのコンセプトブックや、世界中の羊のイラストが描かれたトランプを販売されていました。
ジョーカーは羊ではなく、ヤギの絵なのだとか。うーん、素人には見分けられない…!

ほかのブースには、かわいい雑貨や…

おいしそうなごはんも!

気づけば、会場は人であふれていました。熱気がすごい。
「見たいところが多すぎて回りきれない!」なんて声も聞こえてきました。わかる…。本当にどのブースも魅力的で、隅から隅までゆっくり見て回りたくなってしまいます。
ですが、ここで行われているのは物販だけではありません。工場見学ツアーやワークショップなど「印刷」の魅力が体感できるイベントが盛りだくさん!
ということで、まずはこのお祭りの大本命、藤原印刷さんの工場見学ツアーに参加させていただきました!
印刷物はどうカタチになる?印刷工場を見学!
ふだん私たちが手にしている印刷物は、どんな場所で、どんな人たちが、どんなふうに作っているのでしょうか?
その秘密を探るべく、印刷の現場に潜入します!

印刷の工程は、大きく分けて3つ。
1つめは、印刷の元になるデータを作る工程。
2つめは、そのデータをもとにして、印刷に必要な「版」というものを作る工程。
3つめは、実際に印刷する工程です。
それでは、それぞれの工程をくわしく見ていきましょう!
第一工程・印刷のもとになるデータを作る「組版」

最初の工程、「組版」。
ここでは、ページ内の文字や写真などをレイアウトし、印刷用のデータをつくる作業をします。

まず、著者や編集者が用意した原稿が、テキストファイルなどで印刷会社に入稿されます。
それをもとに、スタッフが専門のソフトを使い、紙面を設計していきます。
「1ページに〇行入れてほしい」「写真はこの位置に」など、お客さんからの細かい指示に従って見出し・本文・写真・図表などを配置し、レイアウトされたデータを作ります。
この作業を「DTP(デスクトップパブリッシング)」といいます。

レイアウトが完成したら、その紙面を著者や編集者に返却してチェックしてもらいます。
このときに入るのが「赤字」と呼ばれる修正指示。誤字脱字や言葉の修正、表記の統一、段落の並び替えなど、印刷会社に対して「ここを変更してください」という指示です。
なんだか小学校の作文を思い出しますね。先生にいっぱい直された記憶ある…。

これは、入稿された原稿の一例。
赤字だけではなく、青字でも指示が書いてありますね。
実はこの「青字」は、藤原印刷さんの特徴のひとつ。

藤原印刷さんでは、赤字での指摘はなかったけれども、「もしかしたら間違いかも?」と思うことに関して、青字でコメントをつけて原稿をお戻ししているそう!
「余計なお世話かもしれませんが、お役に立てれば」という想いでやっているそう。お客さんへの気遣いが感じられて素敵ですね!
こうしたやりとりを経て印刷データが完成すると、次の工程へ進みます。
第二工程・データを印刷できるように整える「製版」

次の工程は「製版」。
製版では、組版で作られたデータに加え、写真やイラストといった画像素材を整える作業をします。
まず、入稿された写真やイラストなどをスキャンしてデータ化します。
組版でレイアウトされた紙面には、写真やイラストが配置されていますが、元データがアナログだったり、印刷に不向きな画像なこともしばしば。その場合は、製版の工程でスキャンや補正を行い、印刷に適したかたちに整えます。
画像をスキャンする作業は「スキャナールーム」で行います。

スキャナールームには、ポジフィルムやネガフィルム(昔のカメラで撮った写真のフィルム)をデータ化するのに最適な「ドラムスキャナー」、昔の本の復元を行うための「フラットベッドスキャナー」など、あらゆるアナログ原稿をデジタルへと変換するための機器が取り揃られています。

もうひとつ、画像を取り込む方法があります。それが「カメラ撮影」。油絵や立体作品など、スキャナーでは読み取れないものをカメラで撮影します。


ここで使っているのは、デンマーク製の超高性能なカメラ。表面の凹凸や細部の質感までしっかり記録できるため、瀬戸物や木彫りといった立体的なものも、高品質にデータ化することができるとか。
お値段、まさかの約1,000万円!近づくのもためらいそうな金額ですが、このくらいの金額の機械はほかにもあるそう。
こうして取り込んだ画像データは、次の「画像補正」の工程へと進みます。

写真の色は、モニター上の色と、実際に印刷される色とでは異なります。モニターごとに色の表示にばらつきがあるうえ、使う紙の種類によっても色味は変わります。
そのため、印刷したときに思っていた通りの色に近づけるには、画像の明るさや色を細かく調整する必要があります。
たとえば、「トマトの赤をもっと鮮やかに」といったように、細かく補正をかけていきます。これはとても繊細な作業で、長年の経験と感覚がものを言う、職人技なんだとか。
次は、ここで補正された画像やレイアウトされたデータを「面付け」します。

面付けとは、ページを印刷用に並べ直す作業のこと。
本は、1枚の大きな紙に何ページ分も印刷し、それを折り重ねて綴じます。ページを印刷順に配置するだけでは正しい順番にはならないため、パズルのように並べ替える必要があります。

私たちも面付けを体験させていただきました。
両面印刷がされた紙を、ページが正しい順番になるように折っていきます。
むむ…これだけでもちょっと難しい。
実際の面付けは、本の向き(右開き・左開き)やサイズ、印刷機の種類によってルールが変わるとか。慎重なチェックが必要なんですね。
パソコン上で作業したのち、最後はすべてのページを印刷して、まちがいがないかアナログでもチェックを行います。

最後は「刷版(さっぱん)」の作業へ。
ここでは、印刷機に取り付ける、アルミ製の薄い板「版(はん)」を作ります。ここが、パソコン上のデータを現実の印刷物にするための橋渡しになります。
みなさん、小学校のとき、木版画を作りませんでしたか?木の板を彫って、インキをのせて紙にペタンと押す、アレです。
この木の板が、印刷でいうところの「版」にあたります。
刷版では、パソコン上で完成したデータをもとに、レーザーを使ってアルミ板に「焼き付け」を行います。印刷したい文字や写真の部分にはインキが乗るように、そうでない部分は弾くように加工されます。

これが実際に刷版の工程で使われる「版」。青く見えているのは、印刷される文字や写真の部分です。
これを4色(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)それぞれに分けて1枚ずつ出力し、印刷時に重ねることで、カラーを再現します。
第三工程・印刷して最終確認
さあ、次はいよいよ実際に印刷する工程へ!

こちらが、印刷機がずらっと並ぶ印刷室。
ここで使われているのは「オフセット印刷機」。きれいでスピーディーな印刷ができる機械です。
まずは、この「オフセット印刷」の仕組みについて教えていただきました。

オフセット印刷とは、水と油(インキ)の性質を利用した技術です。
印刷の元となるのは、先ほど「製版」の工程で作った、アルミ製の「版」。ここに水とインキを同時にのせると、インキは絵や文字がある部分、水はそれ以外の部分に残ります。

印刷機の内部は、「版胴(はんどう)」「ブランケット胴」「圧胴(あつどう)」という3つのローラーからなっています。

これが、実際の印刷機の中の様子。

いちばん上の白い部分が「版胴」、その下の青い部分が「ブランケット胴」、そして写真では見えないさらに下のところに「圧胴」があります。
版胴は、「版」を巻きつけて回転させるローラー。ここに載せたインキは、その下のブランケット胴(ゴム製のローラー)に転写されます。このブランケット胴と、さらに下にある圧胴のあいだを紙が通り、そこにインキが写し取られます。
こうして紙に直接印刷するのではなく、いったんブランケット胴を経由することから「オフ(外して)セット(のせる)印刷」と呼ばれているそう!
また、紙は印刷機の中をまっすぐ進むのではなく、波のようにくねくねと進みながら運ばれていきます。この動きによって、紙がズレずにしっかりと押さえられ、1時間に最大14,000枚もの紙が印刷できるるのです。

ここにある印刷機は「4色印刷機」と呼ばれるもの。
シアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色でフルカラーを再現します。
それぞれの色は、微細な「網点(あみてん)」という点の集合で構成されています。その角度も工夫されており、色ごとに角度をずらすことで、きれいな色合いを出しています。
たとえば、日本ではマゼンタの網点を45度に設定するのが一般的。これは、マゼンタが日本人にとって最も認識しやすい色のため、それを45度(基準の角度)に設定することで、全体のバランスが安定するのだといいます。
一方、アメリカやヨーロッパでは、シアンを45度にすることが多いそう。これは、それぞれの国の人の目(虹彩)の色によって、見え方が異なるためだとか。
印刷の設定には、国ごとの見え方の感覚も関係しているんですね!

ルーペを使って、印刷物を拡大して見てみると…
小さいつぶつぶの「網点」が見えました!たしかに、色によって角度がちょっと違う。
これが重なり合って色を作っているんですね。

4色の印刷機を通った紙は、ここから機械の外へ出てきます。
オペレーターさんは、刷り上がった紙を1枚1枚見て、色味に問題がないか、印刷のズレが起きていないかなどをチェックします。
色味のチェックは、「印刷立ち会い」といって、オペレーターさんとお客さんが一緒に行うことも。
この印刷立ち会いについては、のちほどくわしくご紹介しますね!

こうして、組版・製版・そして印刷と、印刷に関わるすべての工程を見学させていただき、工場見学ツアーは終了!
本来は1時間の予定でしたが、気づけば1時間半もかけて案内してくださいました。
スタッフさんは、みなさん口をそろえたように「地味な作業です」と笑っていらっしゃいました。
ですが、参加者からの質問によどみなく答える姿や、手際よく機械を操作するその背中からは、このお仕事に対する誇りと熱意が伝わってくるようでした。
こだわりの色を表現。印刷立ち会いワークショップ

次に参加させていただいたのは、「印刷立ち会い」のワークショップ。
先ほども少しふれましたが、「印刷立ち会い」とは、お客さんが印刷の場に立ち会い、色味や仕上がりを確認・調整すること。
イメージ通りの仕上がりになっているか、専門のスタッフと一緒に確認しながら決めていきます。お客さんの想いに寄り添った、こだわりの印刷を行うためにとても大切な作業です!

このワークショップが行われたのは「第二工場」。先ほど工場見学で訪れたのは「本社工場」です。
この2つの工場では、印刷方法が異なっています。
印刷にはいくつかの方式があり、本社工場で見学したのは、油性インキを使う「油性印刷」。一方、この第二工場では「LED-UV印刷」が行われています。
LED-UV印刷とは、インキに紫外線を当てて一気に固める印刷方法のこと。女性の方は、ジェルネイルを想像すると分かりやすいかもしれませんね!
印刷した直後のインキはまだベタベタですが、LED-UVランプを通すことで一瞬で硬化します。この「すぐに乾く(固まる)」というのが、LED-UV印刷の大きな特長。印刷のスピードアップや加工のしやすさにつながっています。

こちらは、印刷機に紙を送る機械。
真ん中に積み重なった紙がありますね。
写真のやや左にある白い装置を操作して、印刷開始ボタンを押すと、紙が1枚ずつ印刷機に流れていきます。

LED-UV印刷機が印刷できる紙は、1時間に約16,500枚。1秒にすると、約4.5枚!
そのため、とんでもないスピードで紙が印刷機に送られていきます。
通常は、印刷する枚数を指定して印刷します。ですが、今回はワークショップということで、紙を決められた枚数でぴったり止めるチャレンジをさせていただくことに。

私も挑戦させていただきました!
目標は、70枚。ドキドキ…。
ボタンを押すと、ピーーーッと音がしたあと、紙が勢いよく流れはじめました。
それをどうにか目で追いながら…ああ、速すぎて目で追えない…。
数えるのを早々にあきらめ、「このへんでいっかな!」とストップボタンをぽちっと。
結果は…72枚!惜しかった〜。
ほかの参加者の方もチャレンジされていましたが、残念ながら失敗。LED-UV印刷機のすごさがわかる体験でした。

さあ、お次はいよいよ印刷立ち会いを体験します!
こちらは「インプレスコントロール」という、色を調整するための装置。
中央の大きなモニターには、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色それぞれの濃度の分布がグラフで表示されています。これは、手前にある写真がプリントされた紙をスキャンして、各色のインキ量をリアルタイムで測定・分析したもの。

ここで活躍するのが「プリンティングディレクター」と「印刷オペレーター」。
プリンティングディレクターは、お客さんと一緒に印刷物を確認し、「もっとふんわりした印象にしたい」などの希望をくみとり、それを数値化して、印刷オペレーターに伝えます。
印刷オペレーターはその指示を受け、インキ量などを細かく設定し、それを印刷することで紙の上で希望通りの色や雰囲気を表現します。

今回、色味を調整するのは、こちらの8枚の写真。
今のままでも充分キレイに見えますが、これをさらに自分の好みに仕上げていきます。

ワークショップ用に、写真をどんなふうに変えたいかというリクエスト例が書かれたフリップも用意されていました。
2番の「インキごり盛」が気になる…。

参加者から受けたリクエストを、プリンティングディレクターさんが写真に書き込んでいきます。

あっ、「インキごり盛り」だ!
参加者全員からリクエストを聞き終わると、それに合わせてオペレーターさんがインキ量を調整し、再び印刷します。

印刷が終わると、みんなで写真がどう変わったかチェック。
調整前後の写真を見比べて、「黒が締まった!」「ちょっと思ったのと違ったかも?」と反応もさまざまです。

今回は「インキごり盛り」をリクエストする方が多かったようです。実際は、インキを盛りすぎると絵のようになってしまうため、そこはうまく加減するのだそう。
お客さんの希望に、専門知識・技術をもって対応する。まさにプロフェッショナルの仕事!
ですが「今日はお祭りだから!」と、今回だけはがっつり濃くして印刷してくださいました!
スタッフさんは「この会社に入ってからいちばん盛ってる」と笑っていました。サービス精神旺盛なところも、藤原印刷のスタッフさんたちの魅力です。
こうして、印刷立ち会い体験は終了!
参加されたみなさんもとても楽しそうで、終始和気あいあいとした雰囲気でした。

まだまだある!盛りだくさんなワークショップ
工場見学ツアーに、印刷立ち会い体験。これまであまり知らなかった「印刷」の仕事の裏側をたっぷりと見せていただきました!
ですが、これだけでは終わりません。
屋外・屋内問わずあちこちで、たくさんのワークショップが開催されていました。


リングノート製本体験、特色インキ練り体験、紙積み体験、タイピングチャレンジ、断裁ショーなど、盛りだくさん!
屋外には、ちょっとひと休みできるスペースもありました。ありがたい…。
「ローカル編集者」によるトークイベント

本社工場3階のホールでは、トークショーも行われていました!
テーマは「足で稼ぐ編集者たち〜ローカルの現在地~」。

登壇者は、写真左から藤本 智士さん(有限会社りす代表)、古川 誠さん(メトロミニッツローカリズム編集長)、徳谷 柿次郎さん(株式会社Huuuu代表取締役)。
「編集」や「ローカル」は、近年注目が集まっているテーマのひとつ。ですが、世の中が注目する前から、全国を旅し、編集を積み重ねてきたのがこのお三方です。
トークの内容は、前半が「編集」について、後半が「ローカル」について。

このトークイベントでファシリテーターをされていたのが、藤原印刷 専務取締役の藤原 隆充(ふじはら たかみち)さん。
じつは藤原印刷には、「藤原兄弟」として有名なおふたりがいらっしゃいます。既存の印刷の枠組みにとらわれない、さまざまな取り組みをされているとか!隆充さんは、その「藤原兄弟」のお兄さんにあたる方。
ゲストの3人から濃いエピソードが飛び出すなか、巧みに場を回されていました。話の振り方やリアクションのタイミングが絶妙で、思わず「ほ〜!」と感心したり、つい笑ってしまうようなおもしろいお話を次々と引き出していきます。
それぞれのお人柄やこれまでの歩みをよく理解されているからこそ、その人らしい魅力が自然とにじみ出るような問いかけができるのだなと感じました。

ローカル編集者のみなさんは、マーケットブースにもいらっしゃいました!


このブースに来ると、トークショーに登壇された3人全員と直接お話ができるのがうれしいところ。
じつは、心刷祭で私の知り合いのライターさんに偶然会ったのですが「徳谷さんのファンで、群馬から家族で来たんです!」とのこと。
そうした方にとっては、ここで直接お話ができるのはとてもうれしいですね!ちょっとしたファンミーティングのよう。

工場見学にワークショップ、マーケット、トークショーと、盛りだくさんの心刷祭を回っていたら、気づけば夕方に。開場前に到着し、時間ギリギリ(なんならオーバー)まで存分に楽しませていただきました!
しゃかいか!メンバーも「あっという間だった…」とポツリ。
松本駅行き最終便のシャトルバスのなか、「かえる舎」さんからいただいた味噌かりんとうをポリポリ食べながら、みんなで帰路につきました。

心刷祭の率直な感想は、とにかく「すごかった」!
なにがすごいって、まずはその規模感。もはや地域の夏祭りのようで、ひとつの印刷会社が運営しているとは思えないスケールでした。
この日は雨だったにもかかわらず、来場者数はおよそ900人!マーケットには人だかりができていて、特定のブースだけでなく、どのブースにも人があふれていました。これって、なかなかすごいことでは?

さらに不思議だなと思ったのが、会場にどことなく流れる「一体感」。
ブースを訪れた方と出店者さんとのあいだで会話が弾んでいたり、出店者さん同士がブース越しに話をしていたり。
出店者、来場者、藤原印刷のスタッフ、それぞれが自然とつながれるような雰囲気が、まるでひとつのコミュニティのように感じました。本や服、コーヒーなど、扱っているものはみんなバラバラなのに、この空気感はなんなんだろう…。
そもそも、こんなに内容が盛りだくさんのイベント、準備も相当大変なはず。
それでも心刷祭の開催を続けているのは、いったいなぜなのでしょうか?
そんな疑問の答えをもとめて、心刷祭の熱気が落ち着いたころ、「藤原兄弟」の弟さんにあたる藤原 章次(ふじはら あきつぐ)さんにインタビューをさせていただきました!
心刷祭、そして「印刷」というお仕事にかける、藤原印刷さんの想いとは?
ぜひあわせてご覧ください!

藤原印刷株式会社
住所:長野県松本市新橋7番21号
Web:https://www.fujiwara-i.com/
Instagram:https://www.instagram.com/fujiwara_printing/
X:https://x.com/FJWR_printing
note:https://note.com/fujiwaraprinting
(text:小島 千明、photo:篠原 豪太)
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