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延べ4万5000人以上の女性のからだを計測!下着づくりを科学と数値で分析するワコール人間科学研究所

57年で、延べ4万5000人以上。

膨大な数字ですよね。

ひょっとしたら、いまみなさんがつけているブラは、そんな膨大な数字の結晶かもしれません。

ヴーーーーーーーーーーン……。

ピーーーーーーーーーッ(機械音)。

 

いきなりSFのような登場で失礼します。これは非接触三次元計測装置」

文字通り、触れることなくレーザーの光がからだを測定し、3Dの画像に変換してくれる装置です。

 

はい!というわけでこんにちは!ライターのヒラヤマヤスコです。見えませんが、しっかりワコールの下着を装着しています(正装)。

 

今回やってきたのは「ワコール人間科学研究所」

しゃかいか!では、過去にも株式会社ワコールさんに取材をおこなっています。

長崎にある「九州ワコール製造株式会社」ではハイクオリティで美しいワコールの製品づくりに矜持をもった、たくさんの職人たちが手作業でブラをつくりあげていく様子がじつに圧巻でした。

(こちらを先に読んでいただいたほうが、今回の記事をより楽しんで読んでいただけるかと思います。ぜひご一読を!)

 

製造拠点である「九州ワコール製造株式会社」が製品を完成させる場所とすれば、「ワコール人間科学研究所」は0から1を生み出す場所といえるかもしれません。

寸分の狂いもない裁断や縫製によってつくりあげられるワコールのブラですが、そもそも製品のコンセプトや性能が決まらなければモノをつくることはできません。

バストアップに特化したブラの形はどんなものか。睡眠時のバストをサポートするにはどんな構造にすべきか。年齢や体型に合わせたブラはどんな形にするのがよいか……とか。

「ワコール人間科学研究所」は、女性のからだに関する研究・データの収集をおこない、女性のからだをあらゆる角度から研究・計測し、蓄積した膨大なデータを、ブラをはじめとする下着づくりに活かしているそうで……!?

秘匿情報も多く、なかなかワコール本社の方も「全容をあまり知らない」と噂されるその実態を、しゃかいか!が覗いてみました。

 

測って測って測りまくる!計測が産む貴重で膨大なデータ

研究所を案内していただく、主席研究員の岸本さん。
ワコール人間科学研究所は、本社ビルのなかにある、部署のひとつとなります。

人間科学研究所の活動は3つに大きくカテゴライズされます。「女性美の研究」「製品評価研究」そして「新製品の開発」

年代ごとに女性のからだのプロポーションは変化しますよね。時代によっても「女性美」の概念は変わってきます。それらを具体的な数値として表すのが「女性美の研究」。

開発・リニューアルした新製品が、コンセプト通りのパフォーマンス(機能)を発揮しているかどうかを測定し、評価するのが「製品評価研究」。
そして、ユーザーが求める製品をつくるための魅力的なコンセプトの追求と、そのヒントになる人体の情報を収集・蓄積する「新製品の開発」。

……しかし、もっともっとシンプルに言うなら、「測ること」。

 

「設立の1964年から、現在(2021年4月)まで、延べ4万5000人以上のモニターさんに協力してもらい、女性のボディラインを測り続けて、変化や統計をとってきました。このデータの蓄積が、ワコール製品のクオリティの土台となっているんです」と岸本さん。

同じD70でも骨格によってアンダーバストの形は違うんじゃない?とか、

だったら同じD70でも10代と40代は胸の形が全然違うんじゃない?とか、

いやいやそもそも胸の丸みやバストトップの差とか形がみんな違うんじゃない?とか。

 

妊娠・出産の有無で同じ年齢でもバストの形は変わるんじゃない?とか、

同じ歳の人を1000人測ったら、どんな共通点が出てどんな違いが出るんだろう?とか、

同一人物のからだを10代から50代まで測り続けたらどんな変化が生まれるの?とか、

じゃあ10代から50代までの変化を100人比較したら、なにか法則がでるんじゃない?とか。

 

この下着をつけてこの温度でこの時間過ごしたら、どれくらい汗をかくの?とか、

このスポーツタイツで運動したら筋肉疲労を抑えられるんじゃない?とか。

 

下着づくりのなかで出てくるあらゆる疑問や課題、それらの答えは全て、測ることで得てきたといいます。女性のからだを測って測って、測りまくって、測り続けているのが人間科学研究所なんです。

 

それでは、研究所におじゃまして、具体的にどんな計測をしているのか見学していきましょう。

 

最新機器を使ってからだのアウトラインを計測する

巨大な骨組みと、中に入った人を映すモニター。冒頭で私が体験した、非接触三次元計測装置」です。研究所のスペースでもっとも目立っていたのがこちらでした。

レーザーを照射して、からだのアウトラインを計測するのですが、約2mm間隔という細かなピッチで計測するので、ボディディテールをしっかりとらえます。

レーザーが上下に動いてからだをスキャンしていきます。ちなみに実際はカーテンを閉めて撮影し、ヌードや下着を着用しておこなうそうです。

SFみたいな雰囲気です。ちょっとドキドキ。

数秒の読み取り時間を経て、アップされたスキャン画像がこちら。

おお〜。私が、読み込まれている……!マウスをくるくる動かすと、3Dで出力された私がくるくる動いてました。

そしてアウトラインがこんなふうに線で表示されます。アウトラインに特化したMRIみたいですね。

これによって、同じ胴囲でも扁平だったり丸型だったりと個人で違うかたちを細部までとらえることができるそうです。

もうひとつのデジタル計測機器が、「ベクトラ」という3D画像解析装置です。

美容医療などの場でも活用される機器。これも下着を着用して本来はおこなうそうなんですが、皮膚のキメが見えるほどの高画質な画像を撮影できます。

アウトラインをとらえる「非接触三次元計測装置」と、高画質な画像で肌の色や年齢をとらえる「ベクトラ」。

ふたつのデジタル機器によって、からだのディテールが明るみに出ます。

 

これぞワコールの真骨頂!圧倒的なまでの手作業による計測

そして、なによりすごいのが、これらの計測機器による手作業での計測!

ワコールでは、機械での計測だけではなく、世界共通の人体計測法である「マルチン式計測法」を用いて、モニターさんのからだを手計測するそうです。

ノギスのような器具を使って、胴の厚みや幅を。

クワガタのような器具を使って、バストトップの距離を。加齢によってバストは形が変わってくるので、同じ人物でも、年齢を重ねるうちにバストトップの間隔も変わっていくそう。

岸本さん「バストトップの位置の計測は、ブラジャーの丸みの頂点をどこに設けるかのデータになります。加齢によって変化する胸の形にブラジャーをフィットさせるためです。
想定する着用者の年齢や体型を考え、同じサイズでもブランドや商品ごとにブラジャーの形が違っていたりしますが、こうした手計測によるデータの蓄積によって、ブラジャーのパターン(型紙)がつくられています」。

出た〜!!ワコールの真骨頂「手作業」!!!

説明してくれる岸本さんに対して「ここでもワコールの強すぎマインドが……」と衝撃をうけている私です。

以前うかがった製造現場の見学でも驚いたんですが、もうほんと、びっくりするくらい手作業による製造なんですよね。ワコールの下着づくりって。

九州ワコール製造株式会社

九州ワコール製造株式会社

こちらは「九州ワコール製造株式会社」の現場の画像。ブラの全面に縫い付けられるレースをカッターで切り抜いている様子です。

九州ワコール製造株式会社

このように、カップの左右でレースの模様がずれないように丁寧に重ね、カップのパターンに合わせて熟練の職人が切っていきます。

「手作業の方が確実でクオリティが高い」とわかっているとき、機械に任せれば楽できるけど、任せたぶんクオリティが落ちるのを許さず、どこまでも手作業にこだわるのがワコールのものづくりなのでした。

研究所でもこのマインドが行き渡っているとは……!

「骨と骨の箇所を計測することもあります。こうやって、骨の出っ張りがある部分に眉墨でポイントを打って、そのポイントとポイントがどれくらいの距離なのか……とか」と岸本さん。

研究員の手によって計測するのはなんと158ヶ所!

バストの大きさ、地面からの高さ、バストのカーブの大きさ、おへその位置、鎖骨との距離……など、膨大な手間をかけて各部位を計測します。マルチン計測器だけではなく、オリジナルの計測器具によるワコール独自の詳細計測も加えているそうです。

「こんな計測をすることもありますよ」と、手の甲に格子柄を描き出す岸本さん。

 

「5mm幅くらいの格子柄を全身に描くんです。それで、からだを動かしてもらうんですね。そうすると動きに応じて皮膚に描いた格子柄が伸びたり縮んだりする。それで、からだを動かした時にどれくらい皮膚が伸びるものなのかが数値でわかるというわけです」。

 

は〜〜〜〜〜(ため息)。

そんなことまで……?と絶句したら「まあ、下着は皮膚の上に直接着けるものですからね」とサラッと返されました。

いいものをつくるためなら苦労を惜しまない、執念にも似た情熱を感じます。

 

同じカメラ・同じ距離・同じ位置・同じ角度で撮影して比較する

そしてこちらが、普通のカメラでも人体を撮影するスペース。

普通のカメラといっても、ここにもこだわりがあります。それは、同じカメラ・同じ距離・同じ位置・同じ角度で撮影して比較するというもの。カメラの三脚は強固なテープでがっしり固定されていました。

撮影スペースの床面には、正面、後ろ向き、横向き、斜め向きを同じ角度で撮影するためのガイドが。

 

これによって何ができるかというと「25歳の女性100人のからだを比較して25歳の平均や法則を出す」や「ひとりの人物が加齢によってどんなボディラインの変化を辿るのか」などが可視化できるんです。

 

とくに「ひとりの人物が加齢によってどんなボディラインの変化を辿るのか」。「時系列データ」と呼ばれるこのデータがすごい。

バストが膨らみはじめ、初経を迎え、女性のからだへと成熟し、さらに出産を経るなどによって、変わっていく女性のからだ。ひとりの女性のからだを何年にもわたって記録し続けることでどんな変化が生まれていくのかが一目瞭然なのです。

 

「この時系列データは、あらゆる年代・サイズの女性を下着で美しく、ここちよくサポートするために重要な資料です。女性の人生に寄り添うワコールだからこそ、幼い頃から年齢を重ねた時まで、女性のからだを知り尽くしておかなければいけない」と岸本さん。

 

30年に渡る加齢による変化を200人分集めるという、世界でもワコールだけが集めた貴重なデータ、「時系列データ」。この記録・蓄積によって、女性のからだに関する新発見も生まれたそうです。

 

ひとつは「スパイラルエイジング」というもの。

女性のエイジングには3度のスパイラルポイントがあるということです。16歳~18歳で成長が止まり大人のからだつきに変化、24歳~26歳で女性としてのからだが完成し、それにあわせたサイズへの変化、そして37歳~39歳で急激な体重増加が起こることによる体型の変化。この3つのターニングポイントを契機として、前後でボディラインが大きく変わっていくそうなのです。

さらに、「バストのエイジング」についても法則を見出したそうです。

バストは加齢によるホルモンバランスの変化で、年齢ともに乳腺と脂肪の構成比率が変わり、全体がやわらかくなっていきます。バスト自体にかかる重力や、揺れなどの外部刺激が積み重なって、バストを網状にささえる「クーパー靭帯」が伸びてしまうそうです。

確かに、私はいま31歳なのですが、高校生の頃を思い出すともっと胸が固くて張っていたような気がします。確実にエイジングを重ねている……。

 

こうしたバストのエイジングによる変化のスピードは人によって異なるのですが、変化していく順序はどんな人も同じだということが判明しています。この法則性が明らかになったのは、ひとえに「時系列データ」によるたまものなのです。

 

夏・冬を疑似体験する部屋で、発汗や体温の変化を計測する

製品をつくるまえの資料となる計測だけではなく、できあがった製品が、きちんと狙い通りの機能を果たしているのかを計測することも研究所の大事な仕事です。

 

湿気でドアのガラス面が曇っているのですが、私が入っているのは「環境実験室」という部屋。

赤ランプが仰々しい!

下は5度から、上は33度程度まで、また湿度も自在にコントロールできる環境実験室では、機能性インナーなどの効果計測をおこないます。

室内にはサーモカメラがあり、設定した温度・湿度のなかに一定時間いることで、夏用のインナーはきちんと涼感を与えているのか、冬用のインナーはきちんと身体をあたためているのか、発汗量はどれくらいになるのかなどを計測します。

ワコールはナイトアップブラやパジャマなど、就寝時に着用するものも製造しているので、なんと環境実験室には布団まで完備されていました!

 

実際に布団で寝てみて、寝心地や発汗量などを計測するそうですが、布団を敷いてもらった部屋が、冬の気温に調整してあったため、寒い部屋にぬくぬくの布団があって、とっても気持ちよかったです……。

スポーツウェアを着用し、モーションキャプチャで筋肉の動きをチェック!

さらに!本社ビルからすぐのところにあるもうひとつのビルのなかには、「からだの動き」を研究するところもあるんです。

それがこちら。ランニングマシーンを取り囲むように8台のカメラが設置されています。

からだにフィットした下着でも、動いた時にズレてしまっては機能を十分に発揮できません。

とくに、人気のスポーツウェア「CW-X」などは、運動の専門家の指導のもと計測し、テーピングの理論を取り入れて運動のサポートをしてくれるという商品です。

 

「CW-X」のスポーツタイツに入ったこのライン。デザイン性だけではなく、伸縮率の違う布を組み合わせて筋肉にフィットさせ、サポーター的な役割を果たしているそうです。

その機能を実証するのが、この研究スペースなのですが、実際にウェアを着て走るんですね。

こんな風に……。

周囲に取り付けられたカメラは「光学式三次元動作解析システム」。いわゆる「モーションキャプチャ」として映画撮影などに使われている技術です。

骨の出っ張りを基準に、からだに反射マーカーを20〜30箇所ほど取り付け、360度の全方位からからだの動きをとらえます。

 

だからって私まで走る必要ある??????

ダッシュし続ける様子を、取材班のみなさんにソーシャルディスタンスで応援されました。気分は京都マラソン女子代表です。めっちゃしんどかった。

「CW-X」は、軽い運動を目的とするためのものと、マラソンの大会などで着用されるものではサポート力と構造が違うそう。ウォーキングからダッシュまで、運動の目的もさまざまな人をモニターとして集めているんですって。

初代所長と初代社長の激論からはじまった「ワコール人間科学研究所」

研究所の見学を一通り終え、あらためて岸本さんに話を聞きました。

ワコール人間科学研究所の設立は1964年。終戦から20年経っていない時代です。女性下着に対する世の中の認知は今とは比べものにならなかったでしょう。そんな時代に、どうして「研究所」は生まれたのか。岸本さんはこう話してくれました。

研究所の初代所長の玉川長一郎氏と、ワコール初代社長の塚本幸一氏は、仕事仲間でありながら釣り仲間でもあったそう。琵琶湖の魚をよりうまく釣るにはどうしたらいいのか、ある日論争になったのだとか。

塚本氏が「直観と経験が大切だ!」というのに対し「いやいや、魚の習性を知ってデータを集めることが大切だ」とデータ蓄積の重要性を説いた玉川氏。

結局その言い争いは、直感もデータ収集もどちらも釣りには大事という結論に落ち着いたのですが、それって下着づくりに関しても同じことが言えるのでは?と新しいアイデアがうまれ、ワコール人間科学研究所の前身である製品研究部が生まれたのです。

まさか、釣りがきっかけだとは……!

 

「下着における直感や経験を、すべて数値や科学的なデータとして記録し、そこから生まれた理論がまた新しい機能的な下着をづくりに活かされる。計測したデータは蓄積されればされるほどに信憑性と説得力を持ちます。
これが継続されれば、
組織のレベルを維持し続けられるし、ワコールのブランド価値を上げ続ける製品を生むことにつながるんです」と岸本さん。

「いまの時代でも実直に手作業での継続を続けているのは、設立当初からの計測記録が手作業だから。当時はデジタル機器はありませんからね。
昔と変わらない方法で測り続けることで、30年前、50年前といまの女性のからだはどう変わっているのかがすぐに比較できます」。

価値観の変化とともに、時代にフィットした「女性美」をつくる

岸本さんに「今後、研究員としてどんな下着をつくりたいですか?」と聞いてみました。

「過去の下着は『おしゃれであること』と『健康を生み出すこと』は相反するという考え方でした。バストを寄せて上げれば窮屈になるし……という具合に。でも私は美しさと健康は両立すると私は思います」。

「下着に対する価値観がどんどん多様化するなど、過去には当たり前でなかったことが当たり前になってきたり、新型コロナウイルスの感染拡大によって自宅で過ごすことが多くなっていたり、世の中は目まぐるしく変化し続けています。

見た目の美しさはもちろんですが、今後はより、内面や心身が健やかで健康的かどうかという価値観が広まっていくかもしれません。

目の前の課題はたくさんありますが、時代時代で人々が求める下着づくりの下支えをして、女性のすべてが健やかで美しくあるために、何をすればいいのか、ワコール人間科学研究所の所員として考えていきたいですね」。

ワコール人間科学研究所は、女性のからだのすみずみを計測し、それらを蓄積・分析して下着づくりの下支えをする部門。

それは、女性のからだに向き合い、美しさのサポートをしたいという、ひたむきさと情熱を60年近く積み上げ続けてきたからこそ。

どこまで深いんだ!ワコールのものづくりの精神!

研究という分野に触れて、もっともっとワコールの製品に愛着が湧いた見学でした。

ワコールユーザーの読者の方、お手持ちのブラを着けるとき、その遥か上流から真心を降り注いでくれている人たちに思いを馳せてみてください。

最後に、研究所の皆さんと集合写真をパシャリ!
研究所の方々は被服学、応用化学、スポーツ科学など学んだ理系集団なんだそう。
和気藹々とした雰囲気で、楽しく日々の研究に打ち込んでいることがうかがえました。

 

▼しゃかいか!チームでは、こちらのサイトも制作させていただきましたので、是非チェックしてみてくださいね!

人間科学研究所見学/ワコール株式会社
https://www.wacoal.jp/studytrip/hsrc/

(text:平山、photo:衣笠)

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