酵母は愛に応えてくれる。百年の水で仕込む 福光屋

福光屋

寛永2年に創業して以来390年余り、金沢で最も古い酒蔵として親しまれてきた福光屋さんにやってきました!本日は、この蔵の酒造りの全てを管理していらっしゃる杜氏の板谷和彦さんにご案内いただきます!

福光屋

兼六園からほど近い石引商店街に大きな酒蔵があります。
歴史を感じる大きな看板が掲げられています。ひぇー電話番号がまだ3桁!

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一世紀の歳月を旅した仕込み水「百年水」
樽から湧き出ている水、これが福光屋さんのこだわりの一つなんです。白山の麓に降った雨が地中深く浸み込み、酒造りに最適な成分をゆっくり溶けこませながら100年かけて酒蔵の地下150mに辿り着き、湧き出ています。

ちょうど取材中、「恵みの百年水」を近所のおじちゃんがペットボトルにつめていました。なんともうらやましい!

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樽の上にあるまんまるを杉玉といいます。新酒を搾るころに杉玉を吊るし、それが、新酒が出たよ!というお知らせなんだそうです。
青々とした杉玉が、だんだんと茶色に変わり、新酒の熟成の具合まで教えてくれるそう!

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蔵の中に入ると、既に、蔵全体が甘い香りに包まれています。まずは、麹の勉強です。
「蒸したお米にカビの一種である麹菌を繁殖させたものが麹です。お米のデンプン質を糖分に変えるのが麹の役割なんですよ」と板谷さん。

その糖分を酵母がアルコールへと発酵させて、お酒が出来上がります。

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丸二日間かけ、できたばかりの麹を味見。あまーい!お米の甘さを究極に引き出した麹の驚きの甘さを堪能できます。麹の顔色や香りをみながら、温度や感触を手で感じとりながら麹の成長にあわせた的確な手入れと温度管理をします。

蔵人は、納豆やチーズを食べないようにしているそう。納豆菌やチーズの乳酸菌は麹菌よりも強いので、酒蔵が汚染されてしまうからなんだとか。

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もうひとりの主役、酵母を培養するの酒母室へ。ずらーっとタンクが並んだ迫力!そしていい香り!

酒母造りは、次に行われる仕込みの段階で、大量の米を発酵させるための大切な工程のひとつ。

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こちらの水と蒸し米、米麹が入ったタンクにさらに、蒸し米と米麹を投入していきます。

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蔵人さんが重そうなバケツを肩に抱えて走ります。

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ベルトコンベヤーでもできるところ人力で行うことで、その日の気温によって蒸し米の温度を変えて酵母にとって最適な28度に調整できるそうです。

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蒸し米、ドッボーン!

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温度が冷めないようにチームでダッシュ!
走る!走る! 蒸し米入りのバケツを抱えて蔵人さんが走る!

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酒蔵では、泊まり込みで毎日酵母の面倒をみます。このダッシュも愛着が生まれる瞬間でもあります。

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お酒をつくるのは微生物!
「酵母が気持ちよく発酵できるように環境を整えてあげることが蔵人の仕事。酵母と会話しながら育てています」と嬉しそうな板谷さん。
酵母は愛にきちんとプクプクと応えてくれています。

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1㏄に10億の酵母
仕込んでから10日目の酒母。なんとお味見できました。酒飲みにはたまらない、深みのある味で砂糖は入っていないのにとっても甘い!
1㏄あたりに10億もの酵母が入っています。このスプーンで5㏄だから…‥!

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次の場所へ移動中もタンクがいっぱい。
今、仕込みのまっただ中。酒母に麹と蒸し米、水を加えて、もろみを造る仕込みタンク。

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このタンク、よーく見ると底が丸い。
底を丸くすることで自然の対流を応用し、糖化と発酵のバランスが理想的に保たれるそうです。もろみの発酵にはもってこいの高級タンクです。

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もろみを発酵させている12日目のタンク。泡がブクブク。
発酵が進むにつれて、刻々と変化する泡の状態や香りから酒の出来具合を判断し、杜氏の勘とデータ分析の両面から搾るタイミングを見極めます。

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蔵人独自の冷却センサー
人間の感覚による予測や判断をより的確にできるよう増幅してくれるのが、さまざまなセンサーです。この温度センサー、特定の温度になると冷たい水が流れ、タンク内を一定の温度に保ってくれるそうです。

福光屋さんの蔵人さんが独自に、25年ほど前に開発したもので、今では、他の酒蔵でも使用されているようです。

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見学の最後には、大きな搾り機からでてきた搾りたてのお酒を味わえます。これは、すっきりとした味わいで大変飲みやすく何杯でもいけます。

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昭和に放映された福正宗のCMソング「フクちゃんフクマサもってきて〜♪」で北陸では馴染みのあるフクちゃん。
戦後の復興期に大ブレイクした横山隆一さんのフクちゃんが、製品化・びん詰めラインを説明してくれています。

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蔵が大きいだけにたくさんの瓶が流れてきます。

福光屋

酒蔵に併設されている直営店では、福光屋さんの純米酒全ブランドを取り揃え、バーコーナーでは、酒蔵ならではのスイーツを味わえます。
ここだけの限定品は、金沢の郷土玩具であり、縁起物の「加賀八幡起上り」をモチーフにデザインされた「福正宗 純米大吟醸 金澤」。
可愛らしいお顔です。

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北陸新幹線金沢開業を記念し、特別につくられた「福正宗 かがやき金沢」
金箔が入って、とってもきらびやか〜。

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福光屋さん店舗前、モダンでオシャレです。ご案内頂きました企画室の藤田茉緋さん、ありがとうございました!

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最後にショップの皆様、企画室の岡本亜矢乃さん、大変丁寧なご案内ありがとうございました!おいしさまでばっちり堪能です。加賀百万石の独自の文化と豊かな風土を背景に長い歴史を持つこの大きな酒蔵を守り続けてください!

【詳細情報】

株式会社 福光屋

電話番号:076-223-1161
住所:石川県金沢市石引2丁目8番3号
URL: http://www.fukumitsuya.co.jp/

(text:坂田 photo:市岡)

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