【福井】越前和紙を体感する工芸宿「SUKU」が越前市今立に誕生。“和紙の産地に泊まる”という新しい旅へ

1500年続く越前和紙の産地・福井県越前市の今立(いまだて)に、越前和紙の魅力を体感できる宿泊施設「SUKU(スク)」が開業しました。運営は、越前鯖江地域で産業観光を軸に地域づくりを行う一般社団法人SOE。
工芸宿「SUKU」は、越前鯖江のものづくりに興味や関わりをもつ方々に向けた「産地への旅の拠点」として企画されました。時代に合わせて知恵や工夫を積み重ね、常に変化してきた“アップデート型工芸産地”の今を、「産地に泊まる」ことを通して体感できる場所です。
越前和紙に触れる3室の宿──“紙の素材”を感じる空間


「紙を漉く(すく)」と「宿(スク)」を掛け合わせた「SUKU」という名の通り、宿全体が越前和紙の魅力を直接感じられるしつらえになっています。
レセプションでは、16名の和紙職人が制作した白い和紙が幾重にも貼り重ねられ、産地の技と多様性を象徴する空間が広がります。
客室は「楮(コウゾ)」「三椏(ミツマタ)」「雁皮(ガンピ)」の3室構成。それぞれの紙の原料にちなんだアートワークが配置され、壁紙や障子、照明器具に至るまで、和紙の質感や光の透け感を最大限に引き出す設計が施されています。伝統的な用途だけでなく、照明や家具、インテリアなどは、これまでと異なる和紙の活用の仕方で表現しており、客室内のあらゆる場所で越前和紙の伝統と進化を感じることができます。
地元食材 × 和紙文化が融合した、産地ならではの料理
福井のテロワールにこだわるレストラン〈MarPe〉谷橋シェフが監修する特別メニュー
滞在の楽しみとなる食事にも、越前ならではの文化が随所に取り入れられています。
夕食を手がけるのは、越前市を拠点とする創作フレンチ〈MarPe〉の谷橋洋平シェフ。福井県産の食材を軸に、越前和紙や工芸の世界観を料理に落とし込んだ構成です。メインには、越前和紙を使った「奉書包み」を提供。越前漆器、越前焼、地元木工などのテーブルウェアが並び、素材だけでなく地域の文化そのものを“食卓で味わう”体験が広がります。
朝食は、シェフ特製のチャバタや地がらしのポテトサラダ、地元で採れた旬の野菜を盛り合わせた滋味豊かな朝食。旅の始まりを静かに整えてくれる内容となっています。


まち歩きを楽しみたい方には、スタッフが近隣のローカルな飲食店も案内しており、滞在スタイルに応じた選択が可能です。
和紙職人の技に触れる──宿泊者だけの体験メニュー
SUKUでは、“泊まる”だけに終わらない滞在体験が用意されています。
越前和紙の産地ならではの、本格的な紙漉き体験に参加できます。また、滞在中に出会った和紙を使って、宿では「和綴じのワークショップ」を開催。旅の記憶を“形にして残す”体験ができるプログラムです。


越前和紙1500年の歴史と、ものづくりの集積地・越前鯖江
越前市今立は、日本で唯一紙祖神「川上御前」を祀る和紙産地で、1500年以上の歴史を持つ地域。技術の高さ、紙の種類の豊富さは全国でも群を抜きます。
また、越前鯖江エリアには、漆器・箪笥・焼物・打刃物・眼鏡・繊維など多様なものづくりが集積。
SUKUは一般社団法人SOEが展開する「Craft Invitation」プロジェクトと連動し、旅人と産地をつなぐ滞在拠点としての役割も担います。

11月30日までクラウドファンディングを実施中──宿泊割引や特別ツアーを用意
現在、SUKUの取り組みを広く知ってもらうことを目的に、クラウドファンディングが実施されています。返礼品には、宿泊割引券のほか、伝統工芸士と巡る特別ツアーや企業向け視察プランなど、産地を深く知るための内容が揃っています。
クラウドファンディングページ:
「越前和紙を体感する宿『SUKU』を育てるプロジェクト」
https://x.gd/Fj0Wc
実施期間:10月10日〜11月30日
取り組みの詳細や返礼品の内容は、プロジェクトページからご確認ください。
施設概要


| 施設名 | 越前和紙を体感する工芸宿「SUKU」 |
|---|---|
| 所在地 | 福井県越前市岩本町13-4-1 |
| アクセス | 北陸新幹線 越前たけふ駅より車で約10分 |
| 客室数 | 3室 |
| 開業日 | 2025年11月9日 |
| 公式WEB | https://craftinvitation.jp/suku/ |
写真:Tsutomu Ogino(TOMART:PhotoWorks)
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