思い出の着物を、世界に一つだけのシャツに。アップサイクルでつなぐ大きな地域の輪「シャナリシャツ」

みなさんの家には、大切にしまっている思い出の着物はありますか。

なかなか着られない着物を、もっと気楽に生活の中に取り入れたい、そんな思いで始まったのが、シャナリシャツさんのものづくり。

こちらの素敵な柄のシャツも、実は思い出の着物を「アップサイクル」して、作られたものなんです!

「アップサイクル」とは、「既存のもの、捨てられるはずだったものに、新しい価値を与えて生まれ変わらせること」を意味します。

譲り受けた着物を活かし、世界に一つしかない特別なシャツを作る。そして、大事な思い出ごと、受け継いでいく――。 今回は、伝統産業に新たな風を吹かせる、「株式会社仕立屋と職人」さんのシャツブランド、『シャナリシャツ』さんを取材しました!

(提供写真)

こんにちは!しゃかいか!インターン生のもねです。

今回、私たちがやってきたのは、滋賀県長浜市

実は私の地元でもあり、取材にも気合いが入ります。

今回、取材にご協力くださったのは、仕立屋と職人 共同代表取締役のワタナベユカリさん!

取材を通して伝わってきたのは、「面白いことをみんなでやろう!」というシャナリシャツさんのものづくりの精神です。今回の取材では、シャナリシャツブランドがいかに生まれ、育まれてきたのか、その過程を見ていくとともに、長浜地域のシャツブランドを超えた広がりにも迫ります!

地域の方が安心して譲渡できる環境づくり

「思い出の着物からシャツを作る」シャナリシャツさんのものづくりは、着物を譲渡いただくところからスタートします。

ということで、私たちが最初に訪れたのは、シャナリシャツさんの着物の譲渡会が行われる、市民の憩いの場、北部福祉ステーションです。

譲渡会は、今回のように、地域の方々が集まる公民館やスーパーで開催されています。

入ってみると、すでに譲渡された着物の山が!

その数なんと、一日でおよそ100着

「思い出の着物を安く買い叩かれるならば、着物を活用してほしい」という思いで、快く着物を譲渡してくださる方も多いそうです。

シャナリシャツさんでは、このような譲渡会を定期的に実施されています。2025年の秋からは、長浜市社会福祉協議会と連携して、計14回の着物の譲渡会が市内で開かれる予定とのこと。これは、地域の人々が参加しやすい場所で、安心して譲渡してもらうための取り組みのひとつなのだそう。

譲渡会の他にも、販売会や工房への持ち込み、郵送によって、全国から着物が集められます。

大切な着物を「思い出ごと」譲り受ける

譲渡会など、着物を受け取る過程において、シャナリシャツさんが大切にされているのが、着物を譲渡してくださる方の「お話を聞く」ということ。どなたのお着物か、どのような思い出があるかを伺っています。

その過程は、シャツづくりのため以上に、着物を譲渡くださる方のための時間であるそう。

タンスに眠ったまま、けれど捨てられない着物には、特別な思い出と手放せない理由があります。着物の持ち主からのお話を聞き、その思い出も一緒に譲り受ける場を設けることで、その思いを昇華し、安心して納得して譲渡していただくための設計なんです。

(提供写真) 

実際に譲渡会でお話を聞くと、「これは、おばあちゃんが仕立てた着物で…」など、家族との思い出で盛り上がる時間があるといいます。それらのお話は、シャツの販売の際に、着物の来歴について概略をお伝えすることはあるものの、積極的に外に出すことはされないそうです。

シャツづくりの最初のステップが、単に着物を譲り受ける場ではなく、着物を譲渡してくださる方の思いにも寄り添った、温かな時間から始まることが、素敵だと思いました。

譲渡会が終わると、集められた着物は丁寧に畳まれて、工房へと運ばれます。

いよいよ、シャナリシャツさんの工房へ!

私たちも、シャナリシャツさんの工房へと伺いました。

長浜市街地を離れ、山あいを進んだ先に、のれんを発見。

(提供写真)

中に入ると、とても素敵な空間が広がっています…!

多くの方々が繋いでつくる、分業体制のシャツづくり

最初に、一枚のシャツが仕上がるまでの過程を、ご説明いただきました。

(提供画像)シャナリシャツの作り方

シャツづくりは、まず着物を「解く」作業から始まります。着物の分解作業を主に担うのは、デイサービスの皆さん。中でもメインで担当されているのは、90歳のおばあちゃんなのだそう。着物によって、解き方が異なり、難しい作業なのですが、「この着物は私も持っている」など、大盛り上がりしながら、するすると作業されているんだとか。

(提供写真)着物を解く作業風景

分解作業が終わると、洗濯とアイロン作業に移ります。こちらの作業が、なかなかご高齢の方には重労働とのことで、就労継続支援事業所の若い方たちにお願いされているそうです。

これらの作業が終わると、着物は反物の状態に戻ります。それを短冊状に切っていきます。

このような裁断された複数の生地を組み合わせて布地を作り、それらを縫製することで、シャナリシャツは作られるんです。

実は、この生地の組み合わせを考えるのは、すべてワタナベさんのお仕事。シンプルなものから、着物特有の柄を活かしたものまで様々な、素敵なシャツをデザインされています…!

工房を見渡すと、棚いっぱいに生地が収められていました!

「どのように生地の合わせを決められているのですか」とお聞きすると、「デザイン以上に、生地の素材を見て行う」との回答が。

私はてっきり、着物の柄や色味を見ての判断かと思っていたのですが、実はそれ以上に大切なのは、生地の素材や厚み、織り方が似ているもの同士で組み合わせること。その上で、初めは同じ家から譲渡いただいた着物の中から、組み合わせることができそうか考えるのだそう。

組み合わせ方が決定した後に、縫製の作業を担うのは、地域のお縫子さんたちです。

(提供写真)

縫製が終わると、ついにシャナリシャツが完成します!

一般的な服作りが、生地を調達し、縫製するところから始まることが多いことを考えると、その何倍もの工程をかけて、一枚のシャツが作られていることがわかります。そのため、シャナリシャツの製作には、多くの方が関わっていて、分業体制で行われています。

シャツに仕立てられてからも残る、着物の来歴

さらに、完成したシャツすべてに生地No.が書かれたタグが付けられています。このタグを見れば、どの着物の生地が使われているのか、わかるようになっているんです。

自分が譲渡した着物が、どのような形で仕立てられたかわかるのも、着物を譲る方からすると、安心材料であり、楽しみの一つだと思いました。実際に、出来上がりを見て、「やっぱり欲しい」とシャツを購入くださる方もいらっしゃるそう。

手元に残っても、残らなくても、思い出の着物の新たな出発を見届けられる。シャツとしての新たな生命を想像する楽しさがあること、シャツを購入することで、他の家族が大切にされてきた着物の循環のサイクルに入ることができるのも、魅力的だと感じました。

譲渡された着物を余すことなく使う工夫

シャツを作る過程で大切にされているのは、譲渡されたものを余すことなく使うということ。譲渡された着物や反物は、外に出すことはなく、シャツとして最大限活用し、またシャツとして活用しきれなかった部分も、できるだけ捨てないように、多様な工夫をされています。

反物に解いて、生地を短冊状にする段階では、生地の端や穴が開いている部分、縦の折り皺がついている部分を除いた、きれいな部分をシャツづくりに活用されます。

ですが、シャツに使えなかった部分も、できる限り活用するため、様々な試みをされているんです。

例えばこちらは、スラッシュキルトという技法で作られたトートバック。シャツには使えない短い生地を、3、4枚を重ねてミシンで縫い、縫い目の間を一つ一つカットして起毛させるという技法で作られています。その過程をお聞きするだけでも、バッグ一つ作るのに、多くの時間がかかることがわかりますが、直線縫いが得意な方にお願いされて、少しずつ作られているとのこと。

そこにも使えない生地は色分けして粉砕し、和紙に混ぜ込んだり、糸に織り込んで、ネップとして活用する試みも行われています。

こちらの和紙づくりは、長浜でひきこもりの子供を持つお父さんたちの会「おっとん」のみなさんが、家でできるものづくりとして、連携して取り組みができないかと検討中とのことです。

話を聞く中で、シャナリシャツさんが、譲渡いただいた大切な着物が生きるように、シャツにできない部分も何かしらの形になるように、多様な手段を考えられていることが伝わってきました。

長浜の着物文化とシャナリシャツ

そもそも、なぜ着物からシャツをつくるという事業に取り組まれることになったのでしょうか。それには、長浜の着物文化が関係しています。

ワタナベさんが他の3名と、仕立屋と職人を立ち上げられたのは2016年。2017年に長浜に移り住み、そこから3年間は、長浜で地域おこし協力隊として活動されてきました。協力隊の3年間で取り組まれたミッションは、新たな視点で伝統産業を盛り上げるというもの。その期間で同時に、ワタナベさんたちは、仕立屋と職人を事業として確立したいという思いも持って、活動されていたとのこと。

長浜は、かつて「浜ちりめん」という絹織物の白生地の一大産地でした。

こちらは、当時の浜ちりめんのポスター。

昔の大女優たちが浜ちりめんの着物を着て並んでいます。

現在、浜ちりめん産業は縮小傾向にある一方で、今でも多くの家庭に、思い出の着物が眠っており、着物の文化が根付いている地域でもあります。

その土地柄に触れ、地域の着物文化を活かすものづくりとして、シャナリシャツは始まりました。

着物からシャナリ“シャツ”を仕立てる背景

そして、着物を「シャツ」に仕立てる背景には、大切な着物を普段の生活の中に取り入れてほしいという思いがあります。

私が驚いたのが、シャナリシャツは、洗い方さえ気をつければ家庭での洗濯がOKということ。私は、「着物は、洗ったり濡らしたりしては駄目になる繊細なもの」というイメージがあったので、とても意外でした。

その実現には、シャナリシャツさんの着物の特性の研究と、それを踏まえた一工夫があります。

(提供写真)

こちらは、浜縮緬工業協同組合で、浜縮緬の摩耗、洗濯試験を行われた際の写真。

(提供写真)

摩耗実験、洗濯実験を行い、生地を顕微鏡で撮影、劣化具合を数値化した結果、着物の布地は、扱い方によっては家でも洗濯が可能だとわかったそう!

一般的に着物づくりでは、反物を仕上げる際に基準となる幅(約38cm)にするため、生地を引っ張って作っています。そのため、防縮加工がされていない着物は濡れてしまうと縮んでしまうことがあるため、洗えない、濡らしてはいけないという認識があります。

(提供写真)

だからこそ、シャナリシャツさんは、あらかじめ生地を縮ませて、生地幅を狭めた状態で縫製してシャツを仕立てます。そうすることで、洗い方さえ気をつければ、家庭でも洗濯できるんです。

また、着物は濡れた状態での摩擦に弱いとのことで、ゆったりめの縫製でシャツを作り、あまり生地にテンションがかからないように作られています。

そのこともあり、摩擦の多いボトムスなどは作っていないそう。

しっかりとした調査の上に、シャツという形があり、家でも扱いやすいように多くの工夫があることがわかりました。

地域を超えたブランドの拡大

シャナリシャツさんの事業の方針やきっかけは、長浜という地域に影響を受ける一方、事業自体は、「ここ(長浜)じゃなくてもできるブランドづくり」を心がけられています。

その一環として、2026年から鹿児島支部ができるという素敵なニュースを教えて下さいました。

そのきっかけとなったのが、鹿児島の「うきはの宝株式会社」との連携です。うきはの宝は、「平均年齢75歳以上のばあちゃんたちの働く会社」なんだそう!シャナリシャツさんは、その事業の一つ、『ばあちゃん喫茶』と連携され、週1回の着物の譲渡の受付をされたり、うきはの宝で働くおばあちゃんや、地域で子育てをされているお母さんに縫製作業などをご依頼されています。

(提供写真)シャナリシャツさんInstagramより

その中で、ファッションショーをする機会があり、それを見た、元気な高齢者が活躍するデイサービスからお声がかかり、新規事業の目玉として鹿児島支部がオープンすることになったとのこと!

(提供写真)シャナリシャツさんInstagramより

今後は、シャナリシャツの工程の一部と、新商品の企画を一緒に行う予定とのことでした。

シャナリシャツさんの挑戦と連携が輪を広げて、長浜の地にとどまらず、地域的にも事業的にも広がっていくことに、とてもワクワクします。

つくり手として伝統工芸に関わるということ

仕立屋と職人は、シャナリシャツブランド以外にも、伝統産業に関わる、数多くの取り組みをされてきました。そのアプローチは、職人さんへの弟子入りや、『職人文化人類学』という学問を軸としたブログの執筆、新しい商品開発の伴走まで、本当に様々!

異なる立場での伝統産業への見方と、つくり手として職人さんと関わる上での思いをお聞きしました。

仕立屋と職人さんにとって、もともと伝統産業は「全然知らない世界」だったそうで、伝統産業に関わるデザインをされる際に、表からわからないものづくりの過程を知り、外から見た視点を持つために、弟子入りをされていたそう。そして、フィーチャーされることの少ない裏方の職人さんのお話を聞いたり、新しい商品開発をされてきました。

一方で、支援、伴走という立場では、資金面や体力、モチベーションを含め、職人さんに依存することになり、納品までは関われても、その先まで関わっていくことに難しさを感じられたそうです。

そういった課題を解決する手段として、シャナリシャツブランドを立ち上げ、「一緒にものづくりをする」、「同じつくり手の立場に立つ」という新たな関わり方に転換されました。

コラボという形にすることで、職人さんにフィーを払い、出来上がった商品を、自社のブランドとして、管理し、伝え、販売していけるといいます。

こういった連携は、シャナリシャツさんが伝統産業をビジネスとしてもきちんと回すため、商品に最後まで責任を持つための仕組みになっているんです。

ビジネスとしての視点と同時に、次々とコラボが生まれる背景にあるのは、「この人と一緒にものづくりがしたい」というシンプルな思いがあるそう。魅力的な職人さんやものづくりのスキルを、シャナリシャツさんの技術とかけ合わせて、伝えていきたいと、コラボ商品の開発を進められています。

実際に行われたコラボ商品をいくつか教えて下さいました。

こちらは、県内の柿渋染の職人さんとコラボして作られた、ダボシャツです。

浜縮緬工業協同組合で、通常の販路で販売が難しい白生地を買い取ってつくられた商品です。

(提供写真)

柿渋染という、その名の通り渋柿を用いた伝統的な染色技術の一つです。

(提供写真)

実際に見せていただくと、様々な色合いが。

右は、柿渋染のシャツ。左のシャツのグレーの色味は、暮染といい、柿渋染を下地に、鉄で化学反応させる技法だそう。

同じ技法でも、一つ一つ染まり方が異なるそうで、絶妙な色味の違いも、楽しさの一つだと感じました。

また、天然染料なので色が落ちやすい特性がありますが、染め直しもでき、その過程も含めて、「育てるシャツ」として楽しむことができるそう!

続いてこちらは、漆塗りの職人さんとのコラボされたシャツ。

こちらでコラボされた職人さんは、漆塗りの技術を活かして、キャンプギアを作られているそう!

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漆職人というと、仏壇や器のイメージがあり、実際に長浜の地域でも、浜仏壇の技術として受け継がれてきました。その中で、漆の魅力をさらに広めようと、キャンプ製品に漆塗りを施されているんです。

(提供写真)

シャナリシャツさんとのコラボでは、先の柿渋染めのシャツに、漆糸で刺繍が施されています!

私は、そもそも漆糸というものを初めて知ったのですが、こちらは和紙に柿渋や漆を塗り、糸に仕上げたもので、西陣織など着物の装飾にも使われてきた技術だそう。

(提供写真)

眠っていた白生地を、シャナリシャツさんがシャツに仕立て、滋賀の職人さんが染め上げ、漆糸の刺繍を施す。この一連の流れの一つ一つの過程が魅力的で、また職人さんの技術を最大限に伝えるコラボとなっていると感じました。

このような連携を広げていきたいとのことで、今後のコラボのお話が楽しみです。

アパレルブランドと福祉の二輪

シャナリシャツさんが、就労継続支援事業所や、デイサービスの皆さんと一緒にものづくりをされているというお話を聞き、福祉面に重きをおいた事業展開をされているのかと思っていたのですが、ワタナベさんいわく、分業先を模索する中で、結果的にそうなっただけで、「福祉は後から付いてきた」要素とのこと。

ブランドとしても、福祉とアパレルの要素は分けて考えられています。

例えば、ポップアップストアなどで、アパレルブランドとして、シャナリシャツを販売する際、あまり福祉色は出さないそう。

というのも、ファッションは、「好き嫌い」、「かわいい」のように、直感的に楽しむものというのが、ワタナベさんの考え方。福祉的な要素や説明的な部分は、前面に出さず、余白を残すようにされているんです。

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一方で、譲渡会のような場面では、着物を譲渡していただく際の安心材料として、福祉の要素や地域との関わりを紹介するのだとか。

地域のデイサービスや就労継続支援事業所とは、縫製工場が減少する中で、働き手を探される中で出会われました。

ワタナベさんは、長浜市社会福祉協議会が主催する「福祉とデザイン研究会」にデザイナーとして参加されており、その中で紹介を受けたいくつかの事業所と、一緒にものづくりを始められたんです。すると、支援事業所内でも、シャナリシャツさんの取り組みが話題となり、少しずつコミュニティの輪が広がっていったとのこと。シャナリシャツさんとしてもお仕事をともにされる中で、「相性いいじゃん!」と手応えを感じられ、結果的に地域の仕事として広がっていったそうです。

現在では、そのコミュニティの輪は、主に長浜の地域を中心に、大きく広がっています。地域の6カ所のデイサービス、およそ7カ所の就労継続支援事業所、縫製を担当される方々、九州地域や以前から関わりのある埼玉のご夫婦も含め、その他大勢の方が関わられています。

また、譲渡会でも連携されている長浜市社会福祉協議会(社協)のみなさんとの出会いも、福祉とデザイン研究会がきっかけだったとのことで、今では、デイサービスや若い方の支援も含め、社協の様々な部署と連携されているそう。

大きな輪の中で、それぞれ得意な方、得意な事業所にお仕事を采配して、分業体制で取り組まれているんです。

働き手の皆さんの様子として、地方である分、シャナリシャツさんのようなクリエイティブな仕事はあまりなく、喜んでやってくださる方が多いそう。縫製を担当されている縫子さんたちは、ご家庭の事情を抱えている方も多いです。

そのため、みなさんが無理なく続けられる働き方や仕事の分量、進め方について、相談しながら決められています。同じ仕事でも、それぞれが働きやすく、長く続けられるように、異なる働き方をされているんです。

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また、働き手の方とは、働き方だけでなく、お金の話をする時間もきっちり持たれていて、仕事のご依頼は、継続的に、少しずつ工賃を上げながら、行われています。

多くの方にお仕事をお願いできるよう、働き手の皆さんには、個人事業主として工程に関わっていただくことで、会社としてのリスクを抑え、バランスをとられています。そして事業を拡大していくことで、おのずとお仕事をお願いできる人が増えたり、一人当たり多くのお仕事をお願いできるように、そして皆さんのスキルが上がっていくように、努められています。

この一連の仕組みは、シャナリシャツさんのものづくりに関わる、スキルある人たちを大切にできるような、守れるようなお仕事体制になっているんです。

おもしろいことをみんなで!

ワタナベさんのお話を聞いていて印象的だったのが、シャナリシャツを一緒に作られている方々のお話がたくさん出てくることです。

シャナリシャツづくりの工程、新事業やコラボのお話をしてくださるたびに、「この仕事を行っているのは…」と、その仕事に関わる人がどんな方かを一緒に、楽しそうに教えてくださり、私は会ったことがないその方々のお顔が浮かびそうなほどでした!

お話に出てくる方は、デイサービスに通う90歳のおばあちゃんや就労継続支援事業所の皆さん、お父さん、お母さんなど、性別や年齢を問わず、さらには長浜の地域にもとどまらない、多様な方たちです。

そのようなワタナベさんの姿勢は、共同代表の石井さんとともに、シャナリシャツブランドを始めたタイミングで設定した、「私たち2人じゃできないことをしよう」という思いに集約されています。

ワタナベさんは、その思いを語ってくださいました。

「私と石井でつくれるものって、限界がある。でも、いろんな人が関わらないとできないような、事業を想定して組めば、思いもよらないものも出来上がるし、ちょー楽しいこともできる。」

シャナリシャツさんは、実際に多くの人と関わり、一緒にものづくりをされています。

(提供写真)仕立屋と職人、代表取締役の石井挙之さんと、ワタナベユカリさん

加えて、お話の中で、出てきたキーワードが、「楽しい」「おもしろい」ということ。ワタナベさんは、その理由として、「私たちが楽しそうにしていたら、楽しい人が集まってくる。そしたら楽しいことしかできないじゃん」とおっしゃいます。

だからこそ、シャナリシャツさんとして、「自分たちが楽しいこと」に加えて、「関わる人がちゃんと楽しいような仕事の仕方をしたい」のだと教えて下さいました。

こちらは、福岡での着物譲渡の様子。

(提供写真)福岡での譲渡風景

鹿児島支部だけでなく、着物の譲渡や、シャナリシャツの工程の依頼など、そのつながりは、すでに全国各地へと広がっています。

「長浜にはご縁があって今ここにいて、ここでベースができているんですが、同じようにうちを楽しんでくれる方、うちと一緒にやりたいと言ってくれる方がいれば、どこにでも私は行きます!」とおっしゃるワタナベさん。

着物をシャツに仕立て、今の暮らしに組み込むシャナリシャツさんの素敵なものづくりを学び、その過程にかかわる多様な人々とお話の中で出会い、ものづくりとそれを支える仲間を守る。ワタナベさんの思いを聞いた、盛り沢山な取材の時間は、あっという間に過ぎていきました。

ワタナベさんの「たくさんの人と関わり、2人ではできない楽しいものづくりをしたい」という思い、そして関わる方々を大切にし、それぞれが自分のペースで無理なく、楽しく働けるように心を配られている姿勢が、本当に印象的でした。

そして、着物の譲渡を受け、着物を解き、洗い、縫い、仕上げるまでの過程に、多様な方々の手と時間がかけられていることは、その分、着物に新たな思い出が積み重なっていくようで、とても温かなものに感じられました。

そのシャナリシャツさんのものづくりの輪が、地域の働き手の皆さんや、素晴らしい技を持つ職人さんたちを越えて、今後どんな場所へと広がり、どんな人のもとに届いていくのか、今から本当に楽しみです!

シャナリシャツさんの着物の譲渡会は、2026年5月30日まで、長浜を中心に開催中です。そして、シャナリシャツさんへの直接の持ち込みや配送、福岡のばあちゃん喫茶への持ち込みも受付中です。みなさんもぜひ、足を運んでみてください!

詳しくはこちら
https://www.store-shitateya.jp/p/00010

シャナリシャツ
Web: https://shanari-shirts.jp/
Instagram: https://www.instagram.com/shanari_shirts/

株式会社仕立屋と職人
住所:滋賀県長浜市小谷上山田町897-1
Web:https://shitateya-to-shokunin.jp/

(text:河野萌音  photo:本田コウイチ)

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