関の刃物職人のDNAを世界へ 佐竹産業

「孫六」の関は名字じゃないよ、地名だよ
1Q2A22522
日本の包丁ブランドの代名詞、孫六の関は地名の「関」。
そうです。今回訪れたのは岐阜県の関市、本州の真ん中の岐阜県のさらに中央にあり、刃物産業の盛んな地域です。恥ずかしながら今回お伺いするまで「関さん家の孫六」という人だと思っていました。
関市のみなさま、すいません。
写真は長良川鉄道の関駅。名古屋から1時間20分ほどで到着。撮り鉄っちゃんたちにはたまらない風景です。

1Q2A23262
お伺いしたのは佐竹産業さん。こちらの創業は昭和22年。「濃州孫六作」などのブランドで包丁・キッチンツールなどを全国展開しています。

1Q2A22592
まずは刃物づくりの工程を勉強
包丁の製造のステップは、包丁の形に抜く「プレス」、高温から急冷し鋼の強度を向上する「焼き入れ」、磨きあげ切れ味を鋭くする「研ぎ」があり、さらに「研ぎ」では、荒いものから仕上げまで、細かく工程が分かれています。

1Q2A22682
プレスされた後の鉄板。奥には手裏剣が抜かれた跡もあります。
手裏剣の工程は最高機密ということで見せてもらえませんでした、残念。

1Q2A22772
ゆがみをまっすぐにしていきます。

1Q2A22912
プレスと刃付けされた包丁。鉄の板に刃がつくと包丁っぽくなってきます。

1Q2A23002
研いでは水で冷ます、という作業を繰り返します。

1Q2A23042
仕上げ寸前の包丁、鋭い姿になってきた。

1Q2A23392
仕上げ研ぎ。最後は職人さんの手による微調整が必要。
研ぎマシーンの無い昔は牛の皮を使って研いでいたそうです。一人前の研ぎ職人になるには3年以上!

1Q2A23512
出来上がりの波紋が美しい。見とれてしまいます。

研ぎ体験スタート。
1Q2A23762
研ぎ体験には、荒研ぎ、中間、仕上げの粒の粗さの違う3段階の砥石を使います。荒研ぎは600、中間の1,000、さらに切れ味を良くする1,500といった粒の粗さに番手があり、これらを使い分けます。切れ味にこだわる板前さんは、さらに細かく磨き上げ鏡のようにピカピカになるまで、手研ぎを求められることもあるそうです。

1Q2A23812
刃を10円玉が2枚入るくらいの角度で寝かせ、その角度を保ちながらまっすぐに前後に動かすのがコツ。これを20回くらい繰り返す。
刃の角度が一定でないと「船をこいでるよ」と先生から注意が飛びます。「船をこぐ」というのは船の櫓をこねる動作から来ています。

これを刃物全体の長さに応じて3回くらいに分けてつづけます。裏面も同じようにやると研ぎあがり。

1Q2A23932
研いでると水分が無くなってくるので、時々水を降りかけます。
研いでいる包丁から削り出され鉄の細かい粒が、次の包丁を研ぐ際の研磨剤のような効果が得られるそうです。

新聞紙で、研ぐ前後の包丁で試し切り。
切れ味が全然違うのにびっくり。思わずなんども試して、そこらじゅう試し切りの新聞紙の残骸だらけになりました。

世界へ挑戦しています。
1Q2A22602
佐竹産業はスウェーデンのバイキングサン社と共同でキッチンナイフを開発。
現場のシェフの声も取り入れた海外向け製品の第一号がスウェーデンで発売されます。

1Q2A37092
後日、佐竹産業さんから包丁が届きました。

1Q2A37122_1
開けた!

1Q2A37142
社会科!と銘が彫り込まれた包丁。佐竹産業さん、有難うございましたー!

【詳細情報】

株式会社 佐竹産業

電話番号:0575-22-1631
住所:岐阜県関市東福野町6-21
URL:http://www.satake-cutlery.com/

(text:西村、photo:市岡)

関連するキーワード

関連記事

最新訪問ブログ

訪問ブログ一覧へもどる