60年変わらず直火釜焙煎!香ばしい旭カレールウ ワタナベ食品

旭カレー

東京葛飾区の立石に1947(昭和22)年創業当時より変わらず、カレールウ一筋に作り続けているルウ職人がいます。祖父から父と受け継がれてきたルウの味は3代目へと受け継がれ、今も変わらない製法で作り続けられています。

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ご近所さんの中には、カレールウの香りだけで、「今日は、あのカレールウを仕込み中だ」とわかる方もいらっしゃるようです。漂うおいしい香りに誘われてワタナベ食品さんの工房を見つけました。今回は、直火焙煎で作るカレールウの製造工房を見学します!

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おはようございます!ワタナベ食品3代目の渡邊正道さん(36歳)です。ワタナベ食品の「旭カレールウ」は、海上自衛隊横須賀基地へも納められており、正道さんは一人で月に約50回も大きな釜を回転させて、15万食分の量を毎朝早くから一人で仕込みます。多い日には、1日に釜を3回転させる日もあるそうです。

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工房に入ると一気にむわっと温度が上がりました。正道さん!本日はよろしくお願いします。すでに正道さんの額には汗が光っていますね。

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正道さんは一人でこの釜2釜を相手にカレールウを仕込んでいきます。一釜で100キログラム、3,000食分もの量になります。

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まずは豚の脂、ラードを熱していきます。銅の釜は熱伝導が早く、ラードの入っていた缶を釜に触れさせておくとすぐにラードが液体の脂へと変身します。

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保存料無し!体にもおいしいルウ
「うちのカレールウの材料には名前の表記を見て、わけのわからないモノは一つも入れていないです」と正道さん。生小麦から焙煎していくので胸焼けしにくく、とても香ばしいカレールウに仕上がります。健康的で体にもおいしいカレールウです。

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天井のカレーに思い出
天井を見上げると黄色いカレーの文字!このおいしそうな文字は、2代目が現役のころの大掃除中に正道さんの妹さんが描いた文字だそうです。拭いても消えないおいしいイタズラ書きは、家族みんなの良き思い出に。

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他にも、小学校の友だちが家にくるとみんなでいつもカレーを食べていたというおいしい思い出がいっぱい詰まった渡邊家。おいしい思い出たちは、昔ながらの今も変わらない旭カレールウのおいしいエッセンスになっていそうです!

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完全に溶けた熱々のラード!

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釜の温度は150度から160度の間。ちょっとでも気を抜くと大惨事です。

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高温のラードの中に小麦粉を投入し、小麦粉を焼き上げていきます。

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さらに加えるジンジャー。

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そして、塩と砂糖。

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ジンジャーと塩、三温糖を投入します。高温の釜の中は、すでにラードと小麦粉の総量で80キログラムあります。

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ひたすら混ぜていきます。

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ここで登場する正道さんの相棒、巨大ホイッパーです。

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小麦粉がダマにならないよう真剣な表情で釜の中身をかき混ぜていきます。

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ぷくぷくときれいに呼吸をしているかのようです。

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赤ワイン、ニンニクを混ぜ合わせたものです。

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ケチャップの3つを加えていきます。

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「釜から液体が飛び跳ねるので気をつけてください」と正道さんの声にしゃかいか!編集部逃げ惑います。

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ぱっしゃーん、ぱっしゃーん。液体を跳ね飛ばす高熱の強敵にホイッパーで挑む正道さんの姿は大変勇敢で直火焙煎への熱き想いが伝わってきました。

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手際良く100キログラムの釜の中身を高速スピードでかき混ぜていきます。

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両釜使い
よく見てください!後ろに2つ目の釜があります。この両釜使いという高パフォーマンスさは渡邊家だからできる職人技です。

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スパイスがてんこ盛りです。

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スパイス投入のタイミングを見極める
釜の中身の硬さと色を見極めて、14種類から18種類のスパイスを入れます。

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一気に室内がカレーの香りに包まれます。

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さらに、フルーツとトマトを混ぜ合わせたものを加えます。

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室内温度39度の熱さの中、手にかかる重さに耐えて釜の中身を焦げ付かないように混ぜ続けなければいけません。

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正道さんの努力の結晶が釜の中にびっしりです。こんなにも香ばしいルウの釜を泳ぎたい!

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最後にカラメルを加えて、カレーの色味に近づけます。

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一気に色はカレー色!

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日によって異なる湿度や気温によって、炒める時間を調整してルウのコンディションを整えていきます。

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顔を近づけて、カレーの粘り、香りをしっかりと確認しています。

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ついに出来上がりました!おいしいルウ誕生の瞬間に正道さん、素敵な笑顔です。

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次は、ホイッパーをシャベルに持ち替えて

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粗熱をとるためトレーにルウを薄く広げていきます。1パッドに9キログラム、270人分です。

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丁寧に丁寧に釜からトレーにルウを移動させます。全部で数えると11トレー完成しました。

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ルウの味をなじませるため冷却し、ルウは乾燥後、フレーク状にして袋詰め、そして出荷されます。

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香ばしさはおいしさの証
ここまでの作業で、正道さんの体重が2〜3キロ落ちていることもあるそうです。サウナ室の中、機械に頼らずに手で混ぜ続けるからこその直火焙煎の香ばしさは何よりのおいしさの証です。

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並べられたカレールウには圧巻です!

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このルウでカレーを作りたいとカレー女はうずうずしています。

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左から順番に、初代がつくった「元祖 旭カレールウ」、正道さんの父であり2代目の「旭カレールウ・セレクト」シーフードカレーに最適です。3代目正道さんの「旭カレールウ 孫」は受け継がれた製法を守り、トマトとフルーツをふんだんに使ったスパイシーなルウです。
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3代続くルウに囲まれて感激です!
カレーのおいしい蕎麦屋
ワタナベ食品さんの始まりは祖父の渡邊哲郎さんが終戦直後、まだ小麦粉料理が普及していない時代に配給物資である小麦粉を近所から預かって代わりに加工する「麺加工所」を営んだことが始まりでした。1952(昭和27)年に、麺の加工技術を生かして「生蕎麦伊豆万」という名の蕎麦屋さんを経営していました。「生蕎麦伊豆万」時代に提供していたカレーが大変おいしいと評判となり、カレールウの開発、販売を行う「旭食品研究所」を設立します。今も残る旭カレールウは、この時代に誕生した商品です。

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部屋中に充満しているカレーの香りに我慢ならない!と振り返るとそこには、正道さんのお母さんが昼ごはん用のカレーをよそっています。「今日は、正道考案のスパイシーなルウ孫カレーです」とお母さん。

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これぞ本物のお母さんのカレーです。

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お母さんカレーに舌鼓
トビッキリのおいしさにしゃかいか!編集部そろって、2杯目も大盛りでおかわりしました。孫に受け継がれたルウをお母さんがおいしく調理しています。

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ちなみに正道さんの一番好きな食べ方はカレー南蛮だそうですよ。本日は、香ばしいおいしいカレーをたっぷりと堪能できました。正道さん、お母さんありがとうございました!

【詳細情報】

ワタナベ食品株式会社

電話番号:03-3691-0922
住所:東京都葛飾区立石4-15-3
URL:http://www.asahicurry.com/

(text:坂田、photo:市岡)

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