偶然を楽しみ、挑戦し続ける。タオルの産地・泉州の未来を照らす「神藤タオル」のものづくり

「昔のことはあまり覚えてないんですよね。今しか生きてないと思うから。」
そう優しく笑いながら話すのは、大阪・泉州でタオルをつくり続ける「神藤タオル」の6代目、神藤貴志さん。創業100余年の歴史の中で培われた「泉州タオル」の技法を継承しつつ、「本当にいいタオルとは何か」を求め、常に新しいものづくりにチャレンジされています。

私たちの日常生活に欠かせない「タオル」。
タオルというと今治を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実は日本のタオル産業は、大阪・泉州(せんしゅう)から始まり、日本で最も古いタオル産地とも言われています。
しかし今、「泉州タオル」の事業者は年々減り続けています。そんな中でも、神藤さんは毎日まっすぐに、そして楽しそうに、タオルづくりに向き合っておられます。

入社した頃はOEM(受託製造)がほとんどだったという神藤タオルさん。自社ブランド「SHINTO TOWEL」が誕生したきっかけは、偶然の出会いだったそうです。その偶然を一過性で終わらせなかったのは、神藤さんのものづくりへの徹底した姿勢にほかなりません。触れた瞬間に伝わる優しさ、使い続けるほどに実感する品質。ものづくりの裏側には、たくさんの偶然と、人との出会い、そしてタオルへの再発見が詰まっていました。
なぜこれほどまでに「SHINTO TOWEL」が人々の心をつかむのか。その答えを、現場から紐解いていきます!

こんにちは!しゃかいか!インターン生のあやのです。
私は2023年〜2025年に三菱地所株式会社と株式会社中川政七商店による、学生が本気で商売を学び実践する47都道府県地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン」に参加していました。
そこで近畿地方の仕入れをしているときに出会ったのが「神藤タオル」さんでした。
初めて商品を触れた時のやわらかさと包み込まれる感覚が忘れられず「どうしても仕入れたい!」という熱意を伝えたことをきっかけに、神藤タオルさんの事業所に足を運び、仕入れさせていただきました。
実際に店舗で販売させていただいた時も「こんな触り心地はじめて」「泉州タオルってすごい!知らなかった!」と多くの方に魅力や面白さを届けることができ、とても嬉しい経験になりました。

そんな私も、タオルができる全工程を見学するのは今回が初めてです。
工程を知れば知るほど、タオルづくりの面白さと、ものづくりの奥深さに引き込まれていきました。今回の取材では、製造工程を見学しながら、神藤さんのタオルづくりへの思いやSHINTO TOWELのストーリーを探っていきます!
1回目の訪問で感じたこととの違いや、今回新たに発見したことも含めてお伝えしたいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。それでは、スタートです!
職人技がつまった、これまでにないタオルたち
神藤タオルさんの製品は、どれも個性的でありながら、驚くほど私たちの生活に馴染みます。まずはその代表的な商品をご紹介します!
3重ガーゼの真ん中の生地を半分にするという特殊な織りによって生まれた「2.5重ガーゼタオル」。使い心地を追求した特別な重ね織りになっていて、ふわふわな触り心地を生み出しているそうです。我が家のタオルはこれです。ふわふわなのに乾きも早く、毎日使うのにおすすめです。

泉州タオルの特長である後晒し工程。神藤タオルさんでは、「究極の後晒し」と表現されていますが、後晒しに倍の手間をかけて綿本来の吸水性を高められています。キュキュという感触がまるで雪のようです。我が家ではキッチンで愛用しています!

ボリュームがあるのに軽くて柔らかい。ガーゼとパイルの良さを兼ね備えたタオルです。とにかく、触り心地がふわふわのこのタオル。包まれると疲れが全て吹き飛ぶほどの心地よさです〜。

抜群の吸水性をもつ「泉州タオル」とは?
泉州タオルの最大の特徴は、明治20年(1887年)から守り継がれている伝統製法「後晒し(あとざらし)」工程にあります。
通常、タオルを織る際には、綿糸の強度を上げるために糊付けをしますが、糸に糊が残ったままでは水を弾いてしまい、十分に吸水することができません。そこで泉州タオルの製造工程では、生地を織り上げたあとに晒し(洗い)をかけることで、糊や綿糸そのものに含まれる油分や不純物を、きれいさっぱりと取り除いています。
この工程が「後晒し」です。綿本来がもつ優れた吸水性を高め、清潔でふんわりしたタオルに仕上げます。
もともと手ぬぐいの産地だった泉州のタオルは、古くから銭湯や温泉でも親しまれてきました。皆さんも、気づかぬうちに一度は使っているかもしれません!
さて、神藤タオルさんでの製造工程は次のとおりです。
1つのタオルができるまでには、糸の調達、織り、晒し、染め、縫製とたくさんの工程があります。
先ほどご紹介したタオルも、こんなに硬くざらざらした状態から、ふわふわの製品になるのです。この秘密も後ほどお届けします!

糸からはじまるタオルづくり
タオルの命ともいえる糸。通常の織物は経糸(タテ糸)と緯糸(ヨコ糸)で織られますが、タオルを織る際には、生地を構成する「地経糸」とパイルを作る「パイル経糸」の2種類が使われています。

「パイル」とは織り方の種類のことで、生地の表面に並んでいる丸いループ状の糸のこと。この経糸がループ状になって緯糸と織り合わされることで、通常の平織りよりも繊維への負荷がかかりやすいそうです。
もし糸が途中で切れたり、絡んでしまうと職人さんが一つひとつ原因を探し、手作業で結び直すことになります。
しかし!そんな課題を軽減してくれるのが糊付けです。この糊付けによって、糸の強度を高めることができます。糊付けには、天然のデンプンや水溶性の糊が使われています。

こちらは経糸が織機にセットされたところ。とても硬く強く張られていてびっくりしました!ここからやわらかいタオルができるとは想像できないくらいです。

さらに、神藤タオルさんでは、こちらの機械を使って糸を巻き直しながら、強度を均一にしています。この一手間が高い品質のタオル作りにつながっているんですね!
理想の風合いをカタチにする「織り」の秘密
糸を織る準備が整ったら「製織」の工程へ。神藤タオルさんの本領発揮です!

並んでいるのはすべて織機。これらの機械一つひとつがタオルを作っています。
神藤タオルさんではタオルを織るために3世代の織機が使用されています。それぞれのタオルの風合い、作り上げたい姿で使う機械を使い分けているそうです。
・エアジェット織機
空気の力(圧縮空気)を使って「緯糸」を高速で飛ばす織機です。
空気の勢いで糸をピュッと運ぶため、非常にスピードが速く、大量生産に向いています。
3つの織機の中で最も速く、最速設定で1分間に800回近く打ち込むことも可能です。そのため、効率的に、安定した品質で織る必要がある、日常使いのベーシックタオルの製造などで活躍しています。

こちらは設計図の作成まで、すべて機械でできる最新型!

データで管理しているそうです。
・レピア織機
「レピア」と呼ばれる細長い金属の棒が、緯糸をつかんで交互に渡すタイプの織機です。動くところを見せてもらうと、左右からレピアが出てきて糸をバトンタッチしていました。「表現力のある織り」を担う織機で、2.5-PLYL GAUZEはこちらでつくられています。通常のガーゼ織りとは糸の絡ませ方が違っていて、3重構造の真ん中の層だけを表裏の層より密度が荒くなるように織られています。2.5-PLYL GAUZEの風合いをより際立たせるには、この機械が最適なんだそうです。

設計図は、織機の左側に取り付けられた、プラスチックの板に穴があいたものです。先ほどの最新の織機と比べると、アナログな感じがします。
・シャトル織機
昔ながらの伝統的な織機。この機械が使われていることは、今では本当に珍しいそうです。
「シャトル」と呼ばれる舟形の部品の中に糸を巻き付け、左右に動かして緯糸を通します。手織りのようなぬくもりを大切にする特別なタオルづくりに用いられ、その「糸に優しい」織り方で、ふっくらとした肌ざわりを生み出します。こちらの織機ではINNER PILEのような「素材感」や「織りのゆらぎ」を大切にした製品に使われています。織り目の立体感や、手織りのような柔らかい風合いを再現できます。

機械が止まると職人さんが一つひとつ細かく確認し、微調整する姿はまさに職人技。
パーツもいろいろとむき出しですが、その武骨な感じがカッコ良く見えました。
そしてこれらの機械や神藤タオルさんの歴史を守っているのが、この「現場事務所」なんです。

なんだかここだけ秘密基地のような雰囲気です!
この部屋にはシャトル機の部品があったり、メンテナンスや調整をするための道具が集められています。過去の資料など歴史が詰まっていて、新商品の試作にここの情報を活用しながら試行錯誤を重ねることもあるそうです。

入ってみるとタイムスリップした気分になりました。

機械をメンテナンスする工具があったり

奥にはレピア機の設計図を作るためのタイプライターのような機械が!これで一つひとつ穴を作っています。
次は染工場にLet’s go!!
泉州タオルの吸水力を生みだす「後晒し」
今回は同じ泉佐野にある「ダイワタオル協同組合」さんにお邪魔しました。
神藤タオルさんの製品づくりは、自社工場だけで完結しているわけではありません。
後晒しの工程は、同じ泉州地域で長年タオルの晒し加工を続けている、ダイワタオルさんと協力して行われています。
ダイワタオルさんは、泉州にある多くのタオルメーカーから依頼を受け、それぞれの商品の特徴に合わせてタオルを仕上げる、産地の「縁の下の力持ち」のような存在です。
泉州タオルは、複数の工場が得意分野を分担し、製品をつくる分業の文化の中で支えられてきました。神藤タオルさんもそのネットワークの中で、信頼する職人さんや工場と協力しながら、自社らしいやわらかさと品質を実現されています。

染工場ではタオルが長い旅をします。この時はまだ、皆さんが知っているタオルの形ではなく、何十枚ものタオルがつながった状態なんです。入った瞬間、タオルがくるくる回っていて、私も目が回りそうでした〜。

まずは糊抜きから。
ここでは経糸の強度を高めるために行った、糊を取り除きます。この糊があると吸水性が悪くなってしまうのです。
こちらのオレンジの箱には、アミラーゼ酵素に浸けたタオルが入っています。高湿(40〜50℃)に保った部屋の中で18時間ほど寝かせて、アミラーゼによってデンプン糊を分解させ、自然の力で糊抜きを行うそうです。熱はボイラーの排熱を再利用しており、環境に配慮した仕組みなんだそう。
まるでパンの発酵のような工程で驚きました。

糊抜きが終わると、次は精練・漂白へ。こちらの水槽では、綿糸に含まれる油分や汚れなどの不純物やわずかに残っている糊を、高温の水と冷水の中を交互に通すことで洗い落とします。この高温の水は湯気が出るほど熱く、室内の温度はとても高かったです。

次は洗い終えたタオルを大きな釜へ。この時のタオルは黄味がかっているため、染める前に漂白を行います。約4時間の処理で、真っ白な生地に仕上げます。
これほどまでにタオルが集まっている様子はもう見れないのではないか、というぐらい!この釜にはなんと約500kgものタオルが入るんです。私も中に入れそうなほどの大きさでした。


そしてついに染色に入ります。タオル生地を大きな釜に入れて染料を浸透させます。
染色槽は温度や時間を管理することで、染料を繊維の内部までしっかり定着させ、タオルを均一に染め上げます。

染色後は、再びすすぎの工程です。
余分な染料を取り除くために、十分にすすぐことで、繊維に定着しなかった染料を除去して色落ちを防ぎます。泉州タオルは、何度も洗いが掛かるので基本的に購入してから使う前に予洗いする必要がないんです。

仕上がりによって使い分ける「乾燥」工程
洗浄が終わると最後は乾燥です。乾燥にも3種類の方法があります。
これらは、製品の仕上がりに合わせて使い分けているそうです。
・シリンダー乾燥
タオルを高温の大きなシリンダー(回転ドラム)に貼り付け、熱伝導によって乾燥させることで、パイルが寝かされた状態で仕上がります。泉州タオルは銭湯や温泉などで使われていることが多く、文字や絵柄をきれいに印刷するためこの乾燥で表面を平らな仕上がりにしています。


こちらは神藤タオルさんの115周年記念に作られたタオル。
銭湯や温泉で、文字やイラストが印刷されたタオルを見たことがある人も多いのでは?
・熱風乾燥
シリンダーの熱伝導で水分を蒸発させた後、乾燥装置によって高温の空気で乾燥させることでパイルが立ち上がり、タオルがふわっと柔らかな仕上がりになります。

乾燥装置の中を覗いてみると……

どんどんタオルが流れていきます!
・タンブラー乾燥
大型タンブラー乾燥機で、タオル生地を幾度も移動させながら熱風だけで乾燥させます。繊維がしっかりと膨らみ、ふわふわでボリューム感のある仕上がりになります。これはドラム洗濯機を想像してもらうとわかりやすいです!コインランドリーで仕上げた時のふわふわ感と似ているかもしれません。
神藤タオルさんの自社ブランド製品には、すべてこのタンブラー乾燥が採用されています。

出てきた瞬間触れてみると、温かくふわふわ。
この中に飛び込みたい〜、包み込まれて寝てしまいたい〜となるくらい。
この段階でもタオルはまだ繋がった1本のままです。

泉州の豊かな自然を守り、循環させるものづくり
神藤タオルさんの工場に戻る前に、泉州タオルに欠かせない工程を見せていただきました。
泉州タオルの特徴である「後晒し」には、大量の水が必要です。そのため、水の質はタオルの仕上がりを左右する非常に重要な要素となります。
泉州地域は、和泉山脈から流れ込む豊かな地下水に恵まれており、この水こそが泉州タオルの品質を支えています。泉州タオルはまさに、「水とともに生きるタオル」なのです。
一方で、大量の水を使用するということは、それだけ廃水が出るということでもあります。
だからこそ、こちらの染工場では環境への配慮も徹底されています。バクテリアなどの微生物による浄化施設で長い時間をかけて水を浄化し、厳しい水質基準をクリアした状態で河川に戻す。こうして、地域の景観や生態系を守りながら、環境に負荷をかけないタオルづくりを実践されています。

こちらは廃水を浄化する工程。茶色く泡立って見えるのは、バクテリアと反応しているからだそうです。

浄化された廃水は最後に沈殿槽に移され、上澄みのきれいな水だけが河川へと放流されます。
安全で美しい川が守られていることを実感すると同時に、品質の追求だけでなく、環境にも深く配慮されていることに驚きました。


浄化施設の隣にある川。鳥が飛んでいたり、自然が守られている姿も感じました。
つながったタオルが、ようやく一枚の姿に
長い旅を終え、神藤タオルさんの工場に戻ってきました!
最終工程である縫製と検品は、自社内の縫製部門で行われています。

ここで活躍するのが「ヘムミシン」という機械です。さて、この「ヘム」とは何を指す言葉かご存じでしょうか?

ヘムとは、タオルの両端にある折り返し部分のこと。生地が重なる部分を丈夫に縫い上げるため、専用のヘムミシンが使われています。
こうしてタオルが完成し、皆さんの元へ届けられていきます!
1つのタオルが完成するまでに、こんなにも長い旅をしていたのですね。

こうしてタオルの全工程は終了です!
皆さんのタオルに対するイメージは変わりましたでしょうか?
私は、日常で何気なく使っているタオルに、これほどの手間と時間がかけられていることを初めて知りました。そして、近年、海外製のタオルが増加する中で、日本製のタオルの面白さや素晴らしさを知り、使い続けることの大切さを実感するきっかけになりました。
「就活したくなかった」から始まった、6代目の歩み
神藤タオルさんを訪れたのは、今回で2度目。
1度目の見学で圧倒されたのは、その卓越した技術と100年を超える歴史の重み。しかし、再訪を決めた理由はそれだけではありません。技術のさらに奥にある「ものづくりの意思」に触れたかったこと、そして神藤さんの想いが今、どのように進化しているのかを確かめたかったのです。
今回の取材では、家業を継いでから現在、そして未来への展望について、神藤さんにあらためてお話を伺うことができました!

「最初はほんと、就活したくなかっただけなんですよ」
と語る神藤さん。大学生の頃、お祖父様に声をかけられ、「食うに困らなそうだし、じゃあ」と軽い気持ちで家業の門を叩いたのが、全ての始まりだったといいます。

当時の神藤タオルさんはOEM(受託製造)がほとんどで、仕事の目的は「問屋さんの企画をいかに忠実に、効率よく再現するか」という点に集約されていました。
「当時は、それが普通だったから疑問にも思わなかったんですけどね。」
半年ごとに新商品を出さなければならないというスピード感の中で、新しい素材を試作しては問屋さんへ持ち込み、「どうですかね」と反応を伺う毎日だったそうです。
ターニングポイントは、偶然が生んだ「デザインとの出会い」
転機が訪れたのは、お祖父様から家業を継いで3年が経ち、ようやく会社が落ち着いてきた頃だったそう。「そろそろ自分の色を出したら?」という周囲からの一言に背中を押されるようにして、神藤さんは新しい一歩を踏み出します。
そのきっかけとなったのが、神藤さんが入社して間もない頃に出会った、関西の地場企業とクリエイターが新しいものづくりに挑戦する「made in west」プロジェクト。
もともと2.5重ガーゼを使ってなにか商品をつくれないだろうか?と試行錯誤していた神藤さん。そのサンプルがmade in westのデザイナーさんの目にとまり、商品化の話が持ち上がりました。そこで最初に生まれたのが「2.5-PLY GAUZE TOWEL」です。

「白無地のサンプルに、たったひとつタグをつけただけで、商品の印象がガラリと変わったんです。デザインの力でこんなにも周囲の反応も変わるのか」と神藤さんはとても驚かれたそう。
その後、参加された「大阪商品計画」という大阪産業局のプロジェクトで、さらなる偶然が起こります。そのプロジェクトの講師の1人が「made in west」で担当してくださっていたデザイン会社の方だったのです。まさに歯車が噛み合った瞬間だったそう。「自分たちのブランドをやるならこの人にお願いするしかない」という確信が生まれ、立ち上がったのが現在の「SHINTO TOWEL」です。
この自社ブランドの立ち上げによって、お客様の声が直接届くようになり、「誰に向けてものづくりをするのか」という視点へと変わって行ったそうです。
「なんか全部、偶然なんですよね。でも、やっぱり楽しいからやってるだけ。それが一番大事なのかなと思います」と語る神藤さん。
「楽しいからやっているだけ」という一言には、軽やかさの奥に、確かな芯の強さが感じられました。続ける理由を探すのではなく、目の前の面白さに正直でいること。この姿勢こそが原動力となり、未来につながっていると感じられました。
「お客さんとつくる」ものづくりへ —— SHINTO TOWEL LABの挑戦
現在、神藤さんが力を入れているのが「SHINTO TOWEL LAB」です。これは、企業が一方的に完成品を提供するのではなく、ユーザーとの対話や神藤タオルさんを支える人たちとともに「タオルの新しい可能性」を一緒に実験し、カタチにしていく試みです。
「お客さんから『シーツを作ってほしい』という声があったんです。うちの機械の幅では物理的に無理なのですが、縫い合わせたらできるかもしれない、と思いついて。」
そんな声から生まれたのが「オーダーソーイングサービス」。既存のタオルを縫い合わせることで、大きなブランケットのように仕上げられています。

ふわふわな手触りと吸水性があるから、夏も冬も快適に過ごせそうです!
他にも、神藤さんご自身の体験とお客様の声から生まれたバスローブなど、プロダクトが単なる商品を超えて、誰かの暮らしとつながる実験の連続としてカタチになっています。そんな温かく自由なものづくりが、SHINTO TOWEL LABの魅力なんだなと感じました。

「パーフェクトじゃなくても、まずはやってみる。お客さんが『嬉しい』と思ってくれるなら、それが正解なんです。やりようは、いっぱいあるんですよね。」
そう語る神藤さんの言葉には、SHINTO TOWELの原点である「本当にいいタオルとは何か」を求める姿勢があらわれているようでした。
お話を伺い、受け身ではなく周囲の声を取り入れることで、製品やサービスはより豊かになる。そして当たり前の中にも学びは隠れていて、日常の小さなものからでも、仕事や人生の大切なヒントを受け取ることができると気づかされました。
自社を越え、産地全体を「前向き」にしたい
さらに神藤さんの視線は今、自社だけでなく泉州タオルという「産地全体」の未来へと注がれています。

「僕たちの仕事は、自社だけで完結するものではありません。ダイワタオルさんを含めタオルづくりに携わる全ての加工業がちゃんと成立していないと、最終製品まで仕上げることはできないんです。自社のことだけをやっていればいい、というわけにはいかないんですよね。」
産地が「なんとか続けている」状態から脱却し、誰もが「前向きに続けられる」形にしたい。そのためには、経済的な裏付けも必要だと神藤さんは語ります。
「やりがいだけで食べていくのは難しい。しっかりと稼ぐことができ、それによって心の余裕が生まれて初めて、ものづくりの楽しさを見いだせると思うんです。だからこそ、業界全体が盛り上がっているという雰囲気作り、そして実際に仕事が増えていく仕組み作りを、産地としてやっていきたい。」

産地の成り立ちからも泉州タオル産地は問屋との結びつきが強く、それゆえに自分たちの名前を全面に押し出す必要がなかったため、「泉州タオルだと知らずに使っている人」も多かったといいます。しかし、「これからはタオルを買おうと思ったときに、泉州タオルを思い出してもらえる状態にしたい。そのためにも、自らPR活動や認知度向上という産地全体への貢献にも取り組んでいきたい。」と神藤さんは教えてくれました。
2度目の訪問で見えた「やわらかさ」の正体
今回、私が一番強く感じたのは、人の手と想いの重なりこそが、あの「やわらかさ」を生み出しているのだということでした。
泉州タオルが完成するまでの一つひとつの工程や、職人の手仕事に込められた想いを体感したことは、私にとってタオルの「当たり前」が変わる経験となりました。
また、神藤さんご自身のタオルづくりに対する真摯な姿勢や、「楽しいからやる」という原動力のお話からは、ものづくりに向き合う情熱と、人との出会いの大切さをあらためて学ぶことができました。
流れに身を任せているように見える歩みの中にも、偶然に見える出会いや挑戦を、楽しみながら積み重ねる姿勢。それこそが、神藤タオルさんが長年の伝統を守りながら、新しい挑戦を続けられる理由なのかもしれません。間近でその姿を見ることができ、心から感動しました。

産地全体で事業者が減っている中で、どう魅力を伝え、技術を継承し、地域に貢献していくのか。この記事を通して、泉州タオルの魅力が少しでも多くの方に伝わり、「使ってみたい」と思っていただけたら嬉しいです。
神藤さん、神藤タオルのみなさん、ダイワタオルのみなさん、あらためてありがとうございました!

取材が終わると、しゃかいか一同、SHINTO TOWELのファンになっていました!
最後に……実はSHINTO TOWELを約2年半愛用しています。
個人的な感想ですが、長年使ってもへたれることなく、色落ちもしない。そして使うたびに、疲れた心と体をふんわりと包み込んでくれる、最高の癒やしになっています。ぜひ、この感動を多くの方に体験してほしいです!
神藤タオル株式会社
住所:大阪府泉佐野市日根野2577-1
Web:https://shintotowel.com/
Instagram:https://www.instagram.com/shintotowel/
Facebook:https://www.facebook.com/ShintoTowel/
note:https://note.com/shintotowel
(text :吉田彩乃、photo:本田コウイチ、編集:高田 結香子)
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