正直さを瓶詰めジャムにギュッ!とつめ込む アヲハタ ジャムデッキ

瀬戸の海黒滝山から
アヲハタ ジャムデッキは、瀬戸内海のちょうどまん中、広島県竹原市の忠海(ただのうみ)にあります。瀬戸内の島々が広がるしまなみ街道の多々羅大橋が遠くに見えます。最近うさぎの島として有名になった大久野島も目の前。
真っ青な海と空が広がる海沿いの町に工場はあります。

アヲハタジャムデッキのスカイデッキ
こちらではジャムづくり体験や工場見学の受け入れを行っていて、社会科見学の小学生や家族連れに大人気!年間約1万5千人の人が訪れます。

ジャムづくり体験!
ジャムキッチン
ジャム工房におじゃまします。

今回はいちごジャムづくりの体験。体験する回によって作るジャムが違って、ブルーベリージャムやオレンジマーマレードの回もあるので、他のジャムを作りたい方は確認してくださいね。

用意する材料は、いちご約500g、砂糖約500g、ペクチンシュガー、レモン果汁。すぐにできそうだ!

ジャムづくり体験セット
道具もこんな感じです。
ボール 、なべ 、ヘラ 、ゴム手袋 、ふきん(清浄なもの) 、レードル(杓子)、糖度計。

ジャムづくりの流れは材料を煮込んで、瓶づめするのが基本的な流れ。とても簡単。アヲハタでは素材の良さを最高に生かしておくため、素材や製法もシンプル!

ジャムを煮る
いちごと砂糖を投入し、ゆっくりと弱火で徐々に加熱。全体が沸騰してきたら、いちごの中の空気もあたためられて、いちごが膨らんでくるので、果肉の中の空気を追い出します。

イチゴを煮込む
しっかりと空気が抜けた後はペクチンシュガーを入れます。すると少しとろみが出てきます。このあと砂糖を加え、しっかりと溶かしていきます。砂糖が固まりになってしまったり、鍋底に残っていると焦げてしまうので、溶けろ〜と念じながら、ゆっくり優しく混ぜます。
まぜまぜ。

ジャム作りの糖度計
糖度を測る、糖度計が登場!

糖度の表示
糖度とは、ジャム類の瓶に表示されるこれのこと。
※写真は販売されているもので低糖度タイプの「アヲハタ55ジャム」。ジャムづくり体験では、糖度62度くらいのものを作ります。

アヲハタ55ジャム
アヲハタ・55ジャムの「55」とは、実はこの発売当時の糖度の値から名付けられています。GO!GO!じゃない。ヘルシー志向の高まりつつあった昭和45年。日本で初めて低糖度ジャムとして開発されました。
最近ではさらに糖度を下げたタイプも登場。大人気なんだそうです。

糖度計を見る
器具で可視化して糖度を測ります。

みんなで糖度チェック
みんな糖度をチェック中。

味見のジャム
ジャムの味見
ついでに味見も。
砂糖を入れた直後とくらべると、果汁が出てきたので酸味も加わり、すっきりとした味です。

10分くらい放置して、いちごに糖分を浸透させます。
糖分が浸透するまで、果実は浮いた状態。時間をおくことにより、果実に糖分が浸透し、ジャム全体に行き渡ります。
おいしいジャムになってください、と念じます。

ジャム体験の試食
待っている間に、アヲハタジャムの試食タイム。
季節によってはマーマレードティーが出てくることも。

しゃかいか!さんもどうぞ〜。
ジャムとパンとしゃかいか
ありがとうございます。遠慮なくいただきますっ!
ぅんまい!

いよいよ仕上げ!
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一度沸騰させたあと、レモン果汁を投入。
強火で加熱し、沸騰しはじめたらレモン果汁を入れます。一瞬、さらさらになりますが、とろみは後で復活しますのでご安心を!

表面の泡を取っていきます。
煮込んだジャムの泡取り

ジャムのアクをボウルへ
この泡取りは、見た目もキレイなジャムにするため。

泡さえもおいしいー!
ジャムをペロッと
あ、ペロッと!

ジャムをペロリ
あちこちで味見!

いよいよ瓶につめます。
ジャムの瓶詰め

瓶づめがんばります。
ジャムの瓶詰め頑張ります!
ジャムは熱いので、ヤケドしないように手袋をはめます。

ジャムを瓶にそそぐ
できたてのジャムを瓶に入れていきます。冷めるとうまく密封できなくなるので、熱いうちに!手早くビンに詰めなければなりません。

ジャムを瓶に入れる
ビンの口より、5mmくらい下の位置まで ジャムを入れます。

ジャムの瓶の口を拭く
ビン口に付いたジャムは、キレイに拭き取る必要があります。
そのままキャップをすると、密封性が損なわれ、微生物が繁殖する原因になるから。

瓶をくるくる回す
ふたを軽く締めたあとは、瓶の底とふたに両手を添えて上下に3回くるくるとひっくり返します。これで瓶の上部のジャムとキャップのすき間にあるわずかな空気が温められます。

さらにくるくる
上下に3回、くるくる
いったんキャップを弛め(シュッと音がします)、素早く締め直します。

ジャムの蓋の音がしたか確認
上の部分の空気を温めて追い出すことで、酸化を防いだり、保存性を高めるために行います。
キャップはあまり強く締めすぎないように注意!

瓶詰め作業完了!
できた!
ジャムづくり体験はこれで終了!

この後は、ビンに詰めたジャムを、高温のお湯で殺菌、次に、約50℃くらいお湯に5分ほど浸け、あら熱を取って、だんだん熱を冷ましながら冷却します。
急速に冷ますと瓶が割れてしまうことがあるので、注意!

ジャム体験の瓶
ジャムづくり体験ではオリジナルの瓶にジャムを詰めることができます。
この日は2月なので冬バージョン。また春から新しいバージョンが登場します。
殺菌・冷却は、スタッフの方にお任せして。

ジャム工場の見学に行ってきます
工場見学へいってきまーす!

LS(ローシュガー)プラントへ。低糖度ジャムの製造工程を見学することができます。

プリメルト
ジャムづくりの最初の工程は配合。
アヲハタには「農産加工品のおいしさは、原料を選ぶことによって7割は決まる」という信念があります。こだわり抜いた原料の良さを最も引き出すために、残り3割の創意工夫で積み重ねられた加工技術をこれから見せていただきましょう!

真空濃縮釜
このマシンは真空濃縮釜といいます。低温で果実を煮込みます。これは果物の持つ風味をよく残すため。

「おいしさナチュラル製法」
アヲハタジャムのおいしさは、食べた瞬間に広がるフルーツの香りと甘みにあります。その秘密は、果実の本来の風味を最大限に生かす、おいしさナチュラル製法。
ジャムを煮込む段階で水分と一緒に蒸発してしまう果物の香りを、また元に戻して封じ込めるんだそうです。これまでの製法と比べて、フルーティで花のような香りが特に強くなります。

おいしさナチュラル製法

以前は工場の果物の香りが外に放出されていたのだそう。近くの忠海駅やお家にもわかるくらい。「今日はいちごジャムだね〜」とご近所さんにも言われました。
のどかな風景。
現在はおいしさナチュラル製法をとりいれていて、果物の香りを含む蒸気も回収され、工場の周辺でもほとんど香りがしません。

検査・殺菌
次にジャムは「検査室」へと流れていきます。ジャムを充填する前に全量・目視検査を行っています。
原料の段階でしっかり検査しているのでここでは、念のための最終確認です。
いちごだと葉やヘタ、オレンジマーマレードだと種や黒い点がある皮などをチェック。
専門のトレーニングを受け社内基準を合格した人だけがこの作業をしています。

充填
殺菌充填
2台のマシンで1分間に最大で300本が充填されます。ここは病院の集中治療室くらいクリーン。

ジャムのふた
キャップは緩すぎると密封性が下がってしまい衛生上よくありません。かといって固くしすぎても開けにくくなってしまうので加減が大切。密封性を保ちつつキャップの開けやすさも追求したユニバーサルデザインキャップを採用しています。
酸素に弱いのでジャムの空間部分には窒素を充填、酸化や色が悪くなるのを防ぎます。

さらに内容量をチェック!ウエイトチェッカーという秤の上を通って、規格よりも重いものや軽いものははじかれます。

ジャムの瓶の冷却
充填後は冷却。この時のジャムはまだ温かく、果物は熱に弱いのでおいしさや香りを保つためにできるだけ早く冷ます必要があります。しかし、ジャムづくり体験と同じで、瓶が割れてしまわないように徐々に冷ますことが大切。シャワーで段階的にしかし、手早く冷ましていきます。

ジャムジャムジャム〜。どんどん出てきます。工場見学の小学生が一番盛り上がる見せ場!一日の製造量は約15万本!

アヲハタ ジャムデッキ冷却

この後はキャップがきちんと密封されているかを確かめられ、これでやっと箱詰め、出荷へ。みなさんのご家庭へ、そしてパンの上へと。

アヲハタ ジャムデッキでは、他にもジャムギャラリーなどでいろんなことを勉強できます。
ジャムギャラリー
ジャムデッキ館内のブースはすべて円形!缶詰や瓶をモチーフにした空間になっています。
アヲハタはもともとみかんの缶詰を作っていたんですよ。
ジャムヒストリー

アヲハタ ジャムデッキショップ
ジャムショップでお買い物をすることもできます。

ジャムのお買い物の様子
どれにしようかなぁ〜

旗道園のジャム
ここでしか買えないジャムデッキ限定商品もありますのでぜひ。

アヲハタ ジャムデッキ田中さん
私はレモンマーマレードが好きです。(ニコッ!)と今日ご案内してくれた広報の田中さん。
さっぱりしていて、レモンの香りのほのかなところがおすすめポイントなんだとか。

オレンジマーマレードの美味しさをぜひ伝えたい!
創業当時の旗道園
アヲハタ株式会社は、みかんの缶詰やオレンジマーマレードを製造する目的で、株式会社旗道園として昭和7年(1932年)に創業されました。
創始者の中島董一郎さん(この中島さんはキユーピーマヨネーズの創始者でもあるんですよ)は、青年時代に缶詰技術と販売を修得する目的で、農商務省の実業練習生として欧米に留学。

イギリスで出会ったオレンジマーマレードの美味しさをぜひ伝えたい!と当時すでに日本でも柑橘類の優れた産地であった瀬戸内に会社を作りました。当時は機械化もできない中での加工技術は大変難しいものだったそうです。

戦争によって会社は広島県合同缶詰株式会社に統合、終戦間もない昭和23年(1948年)旗道園時代から経営にも携わっていた廿日出要之進さん(中島さんの後輩)は、先輩の志を受け継いで名を青旗缶詰株式会社と命名しました。

缶詰は中身が見えないから、これを製造する人は正直者でなくてはならない。
昔のママレード缶詰ラベル
アヲハタ の創業者廿日出要之進さんがつねづね言っていた言葉です。

戦後間もない物の無い時代、ヤミ商売が横行し砂糖そのものが高価で売れる時に、配給制で得た砂糖を大切にしながら、原料である柑橘が実るまで、じっとオレンジマーマレードの製造再開を待ちました。

アヲハタオレンジマーマレード
このように、アヲハタが作るものは缶詰から瓶のジャムに変わっても、つねに創業以来、正攻法で素材を活かしたおいしいジャムを作り続けています。

アヲハタジャムデッキ外観
瀬戸内の産地のど真ん中で、よい原料選びと技術中心の姿勢でたなびくブルーフラッグ!
かっこいい!

【詳細情報】

アヲハタ ジャムデッキ

住所:広島県竹原市忠海中町1-2-43
開館時間:9:30~16:30
電話番号:0846-26-1550(工場見学・ジャムづくり体験の予約電話)
電話受付:9:00~18:00
休館日:日曜日、月曜日、祝日、年末年始その他指定休あり
工場見学・ジャムづくり体験は完全予約制
体験料:ジャムづくり体験&工場見学コース800円
工場見学コースのみの場合は見学料無料
URL: http://www.aohata.co.jp/jamdeck/

(text:西村 photo:加藤)

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