平和の豆、幸せの味、あずき。 御座候

兵庫県姫路市の回転焼「御座候」を作っている現場へ。
回転焼イメージ4
平和の豆、幸せの味、あずき
工場に入ると甘〜いアンコの香りがふぁ〜んとしてきます。
工場に入ると大きく「平和の豆 幸せの味 あずき」とあります。
素材に感謝し大切にする思いと、行事や人生の節目に登場するあずきへの敬意が込められています。
こちらの製アンルームでは8〜9名の従業員のみなさんが働いています。

あずきとてぼう
原料の豆。赤い方は平成26年ものの「エリモショウズ」。右の白い方は白アン用の「絹てぼう」という品種です。どちらも大きさや色など手間をかけて選び抜かれた素材。白アン用の豆の名前についている「絹」はやさしくなめらかな口当たり、という特徴にちなんで名付けました。

アン作りの流れはざっくり言うと
1.あずきを煮て
2.砂糖を入れて練り 
3.冷ます になります。

アン釜2
産地から届いたあずきの仕上げの選別を行い洗浄、製アンクリーンルームへ。
多い時で1日にだいたい8~9トンのアンが製造されます。
素材の風味をできるだけ生かすために、お店には基本的に翌日(一番遠い北海道でも空輸で翌日!!)には到着します。

でんしゃで運びます。
でんしゃ
小豆と砂糖を運ぶ原料自動輸送機、通称「でんしゃ」が活躍。合計3機のでんしゃがそれぞれの釜まで原材料を運びます。

でんしゃ2
淡々と運ぶその姿はたくましく、なんだか頼り甲斐があります。

アン釜
釜であずきを1時間ほど煮て、煮汁を切ったら、砂糖を入れてアンを練ります。その際のポイントは「あまり、こねくりまわさないこと!」御座候はつぶあんが売り。豆の風味を生かしつつ、回転焼の生地との絶妙なコンビを実現するために気をつけています。

アン釜3
以前の工場では120kgのあずきを一釜で煮ていたのを、新しい工場では半分の60kgにしました。製アン技術主任の方のお話によると「たくさん煮るのは早くて効率的だけど量が多いと粒や仕上がり具合などにムラがでてくる場合がどうしても発生する。だから半分にした。北海道の良い豆なので、その素材の良さを最大限引き出したい」のだそう。
時間や量よりも品質重視!頭が下がります。

アンホッパーへ2
アンホッパー!
ひとつの釜で一度にできる量は約200kgのアン。できあがったアンコは「アン台車」に積まれ、「アンホッパー」へ。
この後冷却され、当日の出荷を待ちます。

白あん
白あんの製造工程
つづいて白アンのライン。こちらの工程は
1.水につけて水分を吸収させる
2.豆を煮て
3.砂糖入れて練り
4.冷ます
です。赤アンと違うのは、水を吸収させるステップがあることと、「煮る」と「練る」の釜が分かれていることです。

湯気!
白あんの製造工程の湯気
出来上がり直前!湯気が出てる。もうすぐ会えます、ドキドキ。

白あん出来上がり
出来上がり。白つぶあん。おお!粒が見える。
こちらも白あん用アンホッパーへ。

アンホッパー投入その後
アンの充填機
それぞれのアンホッパーに投入された赤&白あんは充填機で「アン缶」に流し込まれます。この時も、まだまだ熱々です。この充填機は1F、先ほどの製アンルームは2Fとフロアが分かれており、自由落下方式で先ほどのアンホッパーから直接、この充填機に落ちてきます。
自由落下ではなく、ポンプでアンを送り出すこともできるそうなのですが、そうするとどうしてもポンプの羽根車でアンの粒を痛めてしまうので、わざわざこの設備に設計したのだとか。
(アンコのこと愛しすぎ!)

アンコは「なまもの」
アン充填後
出てきた!アン。
この時はまだ98度でホカホカというか、熱々ドロドロの状態。
アンは熱いままだと砂糖の成分が焼けてしまい、風味が損なわれるので急いで冷まさないといけません。アンってとても大変。すぐに水冷機へGO!

アン缶トレーサビリティー
こっそりラベルが貼られています。
白、白、白、赤、赤とアン缶がでてきます。同じ色のアンを3缶セットにして管理されます。
充填工程ではアンを詰める際に製造日時と管理番号がふられたラベルが貼られます。水冷機や冷蔵庫の中でたくさんの仲間が待っているので、間違われないように製造日時が管理され、トレースできるようになっています。

アン水冷機
冷やされます。
アン缶は粗熱(あらねつ)をとるため水冷機で75度まで冷やされます。約1時間くらい。
その後、ここからは見えないですが、冷蔵庫(空冷)で5時間ほど冷却されて出荷ということになります。
アンの製造時間は、原材料の洗浄・計量から出荷まで約8時間。そのうち、冷やす方が3/4ほどを占めています。

御座候のトラック
御座候のパッケージ姿のトラック。こちらは市内配送用なので姫路近郊で見ることができるかもしれません。

回転焼イメージ1
そして食べる!
工場横のショップで、できたての御座候をいただくでそうろう。
注文を受けてから焼き始めるので、少し時間がかかりますが、その間に焼きの技を拝見。
焼き時間は約5分。実はこの焼き担当の方は全国の店舗で社員の方が担当。一人前になるには1年から数年かかるのだそうです。
ポイントは、高い温度でパリッと焼くこと。火が弱いと皮(生地の部分)が硬くなってしまい、分厚くなるのでおいしくなくなってしまいます。
熟練していない人は、粉を流したり、アンを入れる手さばきが遅いので、生地が渇かないように弱火になる。先ほど書いたように強火でできないので、おいしくなくなるという理屈。
アン有り生地と受け側生地を合わせるのは素手!

素手で回転焼を掴む
素手って!熱っ
まだ慣れていない人は、手にアンの入った生地を乗せると火傷したり、熱くて手を引っ込めてしまいます。
この焼き技は現場で根性でやれっていうのではもちろんなく、10日間の御座候の新入社員研修のうち6~7日間をこの焼き技の習得に充てられています。「上達するにつれて、御座候の皮は薄くなるけど、指の皮は分厚く硬くなる」のだそう。これからは心して食べます!

いよいよ、いただくで候!
御座候を食べます。

アンコいっぱい!
アンコいっぱい

御座候のみなさん
工場とミュージアムを案内してくださったみなさん。
左から山田さん、田中さん、小河さん。
本当に時間をかけて丁寧にご説明いただきましてありがとうございました!これからも姫路の誇りである「うまいもの」を作り続けてくださいね!

【詳細情報】

株式会社 御座候(ござそうろう)

電話番号:079-282-2311
住所:兵庫県姫路市阿保甲611-1
URL: http://www.gozasoro.co.jp/

(text:西村 photo:西村)

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