高知県四万十の禁断の果実!ぶしゅかんの収穫と加工の現場をレポートします。四万十ぶしゅかん株式会社

ぶしゅかんと四万十川

今日は謎の果物があると聞いて高知県四万十市にやってきました。
なんだーゆずじゃないかー?それじゃなきゃカボスか!と思ったみなさん、ノンノン。
その果物とは「ぶしゅかん」と言います。

高山さん

ぶしゅかんについてくわしく教えていただきました。
今日、ぶしゅかんの収穫と加工の見学をガイドしてくださるのは、四万十ぶしゅかん株式会社営業部の高山竜大さん。
ぶしゅかんと四万十川をこよなく愛する43歳で、ぶしゅかんの収穫から加工、営業までの業務を担当しています。
穏やかな語り口と優しい眼差し。しかし、筋骨隆々で日本酒大好き!高知名物である返盃をなかなかやめてくれない、お互いに盃がいつまでもとまらないね、そんな方です。
今日はよろしくお願いします!

「初めて聞く方も多いと思いますが、それもそのはずで、このぶしゅかんは実は柑橘類の盛んな高知県の中でも、四万十川流域の近くでしか食べられていない果物。現在四万十市は、2005年の合併で山間部までをカバーする大きなエリアになっていますが、ぶしゅかんが育つのは四万十川が海に到達する河口付近、旧中村市のエリアです。
ぶしゅかんは、ゆず、カボスなど酢みかんの仲間で、地元の人は昔から搾った汁を酢として使用し、「酢の王様」と呼ばれ親しまれてきました。
一般的によく知られている黄色い手の形をした「仏手柑(同じくぶしゅかんと読みます)」とは違う果物で、この四万十の方は緑色。一説によると仏さまの手の上の「宝珠」に似ていることから仏の手の柑と書いてぶしゅかんと呼ばれるようになったのではないか、と言われています。四万十のぶしゅかんは、手仏手柑と区別するためにひらがなで書くようにしています。

酢みかん

酢みかん3兄弟。
左から、かぼす、ぶしゅかん、直七。
ぶしゅかんはセンターにおいてみました。見た目では違いが分かりにくいですが、手にとって爪で皮に傷をつけてみると、ツーンとする酸っぱい香りなの
がぶしゅかん。
実際に香りを比べてみるとすぐわかるのですが、ここでお伝えできないのが残念。

ぶしゅかん試飲

果汁は鮮やかな黄色で美しい。でも、酸っぱそう。唾が湧き出てくる。

地元に根づくぶしゅかんが、外に広まらなかったわけ。
高知県のゆずやかぼすは全国的に有名なのに、何故ぶしゅかんだけが広まらなかったのか?その理由は、3つあります。

ぶしゅかんの生育

その1、なぜかこの地域でしか育たないから。
柑橘類の栽培に適した海べりの地域でも、土なのか気候のせいなのか、山を一つ越え、他の地域になるとぶしゅかんが育ちません。これまでも何度かチャレンジしましたが、四万十市近辺でしか大きくなることはありませんでした。

ぶしゅかんの果実

その2、ぶしゅかんの育てやすさ。
ぶしゅかんは、この現在の四万十市近郊ではどこでも植わっていた植物。
トゲが少なく、ほぼ農薬を使わずに栽培でき、ハウスに入れずに露地栽培。手間がかかるのは木の周りの草刈りだけ。すごい生命力で病気にも強いので、放置していてもどんどん育つ。トゲもなく、農薬をかける必要もないので、手間がかからないので高齢者向きの作物と言われています。
ぶしゅかんの木には果実が100年以上なり続け(中には130年の木もあります)、多いものだと一本の木から100kgくらい収穫できることもあります
そんなぶしゅかんは育てやすさから、この地域のお家には1本ずつは植えられていて、地元のおじいさんおばあさんには当たり前の存在。お家で収穫し搾れば簡単に酢として利用可能。
ご当地のみなさんは「作るの簡単だし、手間かけてわざわざたくさん育てる必要ないわ、きっとどこでも作れるんだろう」と栽培を拡大することはありませんでした。

めじか

その3、地元のお料理にピッタリすぎる
ぶしゅかんが収穫されるのは毎年8〜9月。ちょうど地元の漁師町では「メジカ」と呼ばれるソウダガツオが水揚げされる時期とちょうど同じ。このメジカにぶしゅかんの果汁をかけると爽やかな香りと酸味がメジカにぴったり。やばい、また、唾が出てきた。
しかし、このメジカ、とっても美味しいのですが傷みが早く冷凍技術があまり発展しない時代には、鮮魚としては外に流通せずここ四万十周辺でしか食べることができませんでした。
そして、このメジカに最適、というかほとんどメジカ専用酢の立場だったぶしゅかんはメジカのお料理の印象が強すぎて、メジカ用の収穫期が終わるとぶしゅかんの役割も終了。
味付け以外の使い道が思いつかれなかったぶしゅかんは、メジカ同様外に広まることはありませんでした。

ぶしゅかんサワー

焼酎サワーに混ぜて、ぶしゅかんサワー。これもうまい!

育てやすい、地元のお料理にぴったりといいとこづくめ。しかし、地元に根付きすぎて、活躍する場が限定されてきましたが、ぶしゅかんをもう一度活躍できる場を広げよう、という取り組みが始まりました。
その中心となっているのが、四万十ぶしゅかん株式会社。
2007年に中村料理飲食店組合、大川筋地域振興組合が協力し「ぶしゅかん産地化し、商品開発をすることで地域の活性化につなげたい」という目的で「チームぶしゅかん」を結成。

四万十ぶしゅかん田中社長

こちらが社長の田村さん。四万十川の河口にある「四万十屋」というお土産やお食事ができる店舗を経営されていましたが、地元の名産ぶしゅかんがもう一度日の目を見るべく店頭での販売や製品化にも挑戦しています。

四万十屋店内ぶしゅかん生食用
生食用のぶしゅかんの出荷はもちろん、

ぶしゅかん売り場 ぶしゅかん商品

ぶしゅかんを使った飲料、ドレッシング、お土産など、ぶしゅかんは酢だけではなくいろんな姿に形を変え始めています。

ぶしゅまろ

四万十ぶしゅかんにはPRキャラクターもいます。その名も「ぶしゅまろ」。イベントに大活躍です。

歌もあるので聞いてみてください!

定植1

ぶしゅかんの自社栽培が始まった。
最近はぶしゅかんを植えるお家も減ってしまったり、食文化の変化もあり、収穫できるぶしゅかんを少しでもたくさん確保するべく、四万十ぶしゅかん株式会社では、製品化の拡大にそなえ栽培をスタート。

開墾2 定植2

2012年から、四万十市近郊の耕作放棄地をぶしゅかん農園に開墾し再利用をはじめました。そして、昨年3年目で耕作放棄地に約2000本のぶしゅかんを定植することに成功。同時に任意団体チームぶしゅかんを「四万十ぶしゅかん株式会社」として法人化しました。

しかし、ぶしゅかんはまだ足りない。
新しく作った農園で実がつく間はしばらく時間がかかるし安定供給まではまだ道半ば。そこで、地元のぶしゅかんの木があるお家にお邪魔して、収穫作業も代行することにりました。四万十ぶしゅかん株式会社では、収穫したぶしゅかんを買い上げぶしゅかんの収穫量を確保する(会社)、収穫手間が減ってお小遣いにもなる(お家)と相互にお得な仕組みを構築しました。

収穫風景1

ぶしゅかんの木があるお家にお邪魔して、収穫の様子を見せてもらうこともできました。

ぶしゅかん収穫隊

われら、ぶしゅかん収穫隊です!

ぶしゅかん

このお家には、ゆずやかぼすの木が植わっていて他の柑橘類の実は収穫しません。ぶしゅかんのみ!
果実が緑なので見逃さないように目をこらさなければなりません。

高枝切りはさみ 高枝切りはさみアップ

高いところは高枝切りバサミが活躍。
木にも登ることもあります。

ご近所さん

ぶしゅかんの収穫はお家の人にとっては大助かりなのだとか。
「家でも使うから一本分は残しておいてね」とこちらのお家のおばあちゃん。

黄色くなったぶしゅかん

黄色いのは、おばあちゃんのお家でジャムにするそうです。

「車で移動の最中もぶしゅかんの木を見つけたら、お家の人にまた収穫させて!とお願いすることにしています」と収穫隊長の高山さん。
ぶしゅかんの木のあるお宅をみつければ、すぐに声をかける。まるでぶしゅかんハンター。

ぶしゅかんカゴ入り

このカゴいっぱいで20kgのぶしゅかんになります。

ぶしゅかん収穫作業ひき なかなかの重労働

「けっこう重労働だけどがんばるよ」

加工

加工場へ連れて行ってもらうこともできました。
ここでは製品に使うための原料づくり、一次加工を行っています。

洗浄へ

もぎたてのぶしゅかんを投入。

ぶしゅかん洗浄中

表面を洗浄します。今日は最盛期なので3人が作業を担当。
地元のおばちゃんたちと障害者福祉サービス事業所多機能事業所アオのみなさんが働いています。

搾汁機へ 搾汁機へ

洗浄の後は、搾汁機へ。

搾汁機で潰される 搾汁機で潰される 皮や種 搾汁後のぶしゅかん

搾汁機の中を一周してぶしゅかんの果汁が搾られます。

ろ過へ ろ過

搾汁はろ過されます。

ぶしゅかん果汁

美しいぶしゅかんイエロー。

加工場従業員

一時加工完了!
この搾汁が、各工場に出荷されドリンクやドレッシング、ポン酢、アメなどなどに姿を変えて、販売されることになります。

加工場のみなさん

価値が見直されているぶしゅかん。原料供給拡大に向けて着々と準備が進行中。
加工場は来年には設備を充実して、新しく工場を建設することになっています。

ぶしゅかんと商品.

四万十流域だけの地元の果実だったぶしゅかんは、栽培から商品化、販売、と地域の人たち自らの手によって、新たな活躍の場が与えられようとしています。またさらに、ぶしゅかんのあるお家との結びつきの発見、地域の雇用創出、といった効果も同時に注目されはじめています。
すっぱいぶしゅかんが生み出した試み、これからどうなっていくのか楽しみです!

四万十ぶしゅかん株式会社のみなさん、高山さん、今日は有難うございました!

【詳細情報】

四万十ぶしゅかん株式会社

電話番号:0880-31-9211
住所:高知県四万十市山路2494-1
URL: http://busyukan.shimantoya.com/

(text、photo:西村 ※一部の写真は四万十ぶしゅかんさん提供)

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